ツアー・オブ・ジャパン初観戦記🚴

スタート・フィニッシュラインの100m手前で記念撮影

自転車プロロードレースのツアー・オブ・ジャパン(TOJ)4日目、大井埠頭で行われた東京ステージを観戦してきました。
日頃から自転車についてはああでもない、こうでもないとウンチクを傾けているA先生ですが、レースを現地で生観戦したのは、実はきょうが初めて。

本当なら某誌の〆切があって家から出られないところだったのが、きのうになって急遽一日延期されることに。
そこで、かつてツール・ド・フランスのリポーターとして知られたライター仲間、土肥志穂さん(同郷でもある)をお誘いしたところ、生観戦初心者のナビゲーターを快諾していただきました。

全日本大学選手権クリテリウムに参戦した学生たち

朝9時に東京モノレール・大井競馬場前駅で土肥さんと待ち合わせて会場に向かうと、早くも激しいレースが行われている。
マラソン大会でよくある市民参加の草レースかな、いや、それにしてはみんな随分真剣モードだぞ、と思ってネットをチェックしたら、全日本大学選手権クリテリウムだった。

これも面白いなあ、とスタート・フィニッシュ地点で眺めていたら、目の前で集団落車が発生!
海外のステージレースやクラシックレースなど、テレビ観戦では何度も見たシーンだけど、実際に至近距離で見ると、実に凄まじくも痛々しい。

東海大学、鹿屋体育大学などに混じって法政大学(わが母校)の選手2人も巻き込まれており、誰のバイクか、フロントフォークが2本ともボッキリ折れている。
正直、ゾッとする光景で、いっぺんに目が覚めました。

今中大介さんと記念撮影

クリテリウム終了後、東京ステージのスタートまで1時間ほどあったので、土肥さんの後についてイベントスペースを見物。
TOJアンバサダーの今中大介さんを土肥さんに紹介してもらい、せっかくだからと記念写真を撮っちゃうところが、いいトシをしてミーハーだよなあ、われながら。

今中さんは日本人として近代ツール初出場を果たした自転車界のレジェンド(※近代化される以前には1926、27年大会に川室競が出場)。
僕や土肥さんと同じ広島出身で、今中さんの幼馴染でもある僕の同級生の名前を出すと、「ああ、お寺の人ね、懐かしいなあ」と笑っていました。

午前11時のスタート直前

午前11時、いよいよ東京ステージがスタート。
沿道には多くのファンが詰めかけていたけれど、東京マラソンや箱根駅伝に比べればいまひとつ寂しい感は否めず、土肥さんによれば「コロナ前はもっと多かったんですけどねえ」。

右の長身の選手はスパークルおおいたのスプリンター沢田桂太郎

最初のうちはパレード走行。
画像からもわかるように、選手たちは上ハン(ドロップハンドルの上を握ること)で、表情にも余裕がある。

集団が本気モードに入ってきた中盤

ここから16周回中5〜6周回に入り、先頭に逃げの集団ができると、後続のプロトンもスピードが上がってきた。
選手たちも下ハン(ドロップハンドルの下)になって、正直、この距離で画像を撮っていると結構怖い。

レースは後半で6人が逃げ続け、ラスト1周で集団が飲み込み、片山右京さんのチーム右京がステージ優勝(レイモンド・クレダー)、個人総合時間賞(ネイサン・アール)、チーム総合成績でもトップの〝3冠〟を達成。
僕が応援していた宇都宮ブリッツェンは、進境著しい宮崎泰史が新人賞を獲得しました。

ざっくばらんに感想を語ってくれた増田選手

レース終了後、宇都宮ブリッツェンの主将・増田成幸選手に取材かたがたご挨拶。
増田選手には昨年の東京オリンピック出場前にNumber Webの記事『壮絶キャリアを経て“99%不可能な”五輪代表に… 自転車ロードレース増田成幸が“不死鳥”と呼ばれる理由』でインタビューしたのですが、そのときはリモートで、直接対面できたのは今回が初めてでした。

昨年の非常に丁寧かつ率直な対応は、いまもまったく変わらず。
「チームは優勝を目指してやってるんですが、今回は優勝できなくて、僕自身も4位に終わりましたけど」と前置きし、「宮崎が新人賞を取れたことは良かったと思います」。

「僕自身はもうあまり伸びしろはないと思いますが」と謙遜しながら、「宮崎にはキャプテンとしてできる限りのサポートをしてあげたい」という言葉に増田選手の人柄が滲んでいました。
こういう様々なケガや苦労を乗り越え、崖っぷちから這い上がり、いまやチームリーダーとなった選手が、もう一度スポットライトを浴びるシーンを取材したいものです。

新人賞の宮崎選手(左)、取材する土肥さん(右)

新人賞の宮崎選手には、ブリッツェンの公式ホームページでライターを務める土肥さんがインタビュー。
初観戦、初取材で、コロナ禍による規制もまだまだ厳しい折、土肥さんをはじめ、関係者の方々には一方ならぬお世話になり、大変充実した一日を過ごすことができました。

みなさん、ありがとうございました!
ついでに、このBlogを読んでいただいたみなさん、自転車ロードレースは面白いですよ!

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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