連日、ロシア軍によるウクライナ侵攻の状況、そのロシア軍を批判するゼレンスキー大統領の発言を見聞きするようになって、そろそろ3カ月近くになる。
しかし、それでは、ウクライナとはそもそもどのような国かとなると、僕も含めたほとんどの日本人はまだよくわかってはいないのではないだろうか。
ウクライナは総面積で60万3500km²とユーラシア大陸では171万0000km²のロシアに次ぐ第2位、総人口は4413万人と第5位の規模を誇る。
石油、天然ガスはロシアほど恵まれてはいないが、鉄鉱石はヨーロッパ最大の産地と言われ、かつては旧ソ連最大の工業地帯として知られていた。
農業大国でもあり、世界の黒土地帯の30%を占め、耕地面積は農業国フランスの2倍、日本列島の全面積に匹敵し、世界屈指の麦や砂糖の生産国で、かつては「欧州の穀倉」と呼ばれた。
それほどの国力がある一方で、いや、国力があるからこそ、東側からはロシア、西側からはポーランド、ハンガリー、オーストリア、ドイツなどの欧州諸国から様々な干渉を受け、時には今回の戦争のような侵略に遭ってきたのである。
他国の支配下にあった時代はウクライナ語を公用語として使用することを禁じられ、新聞は廃刊、書籍は発禁とされた。
長い歴史の中にはウクライナという国名自体を地図上から消された時期もあり、ロシア人はウクライナを「小ロシア」と称して独立した国と認めようとしなかった。
今回、プーチン大統領がウクライナ侵攻を強行した背景には、そうした歴史的背景からロシア人の精神に根付いた傲岸で尊大な差別意識があるのではないか。
9日の戦勝記念日の演説でドンバスという地名は口にしても、ウクライナという国名を省いたのは、そもそもドンバスはロシアのものだからだ、というプーチンに刷り込まれた思い込みによるものだったようにも思える。
ウクライナの歴史は、そうした大国に蹂躙されては跳ね返し、また叩きのめされては立ち上がる飽くなき抵抗の繰り返しだったと言っていい。
ウクライナが独立宣言を発したのは(いまふたたびロシアに脅かされているが)旧ソ連崩壊直後の1991年だったが、この宣言が20世紀に入ってからだけでも実に6回目に上っていた。
著者は元外務官僚で、1996年から駐ウクライナ大使を拝命してこの国に愛着を抱き、2004年の大統領選の際には日本監視団団長も務めた人物。
本書が書かれたのは20年も前ながら、ロシア(というよりプーチン)がなぜウクライナに攻め入ったのか、歴史的背景を踏まえた上で、ウクライナ側の視点から日本人にもわかりやすく解説されている。
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2022読書目録
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2『聖刻』堂場瞬一(2021年/講談社)😁😥
1『賭博常習者』園部晃三(2021年/講談社)😁🤔☺️🤓