高倉健が東映任侠映画の大スターとして爆発的な人気を博していたころの1本で、『昭和残俠伝』シリーズ第4作。
こういう映画はVHSのレンタルビデオが全盛だった1990年代前半までにハマって、一時はすっかり食傷していたが、久しぶりに観ると、やっぱりグイグイ引き込まれてしまう。
舞台は昭和初期の東京・浅草、健さん演じる主人公・花田秀次郎は、この界隈の鳶職、大工、左官たちの頂点に立つ鳶政一家の小頭。
上野で東京博覧会が開かれることになり、博徒・阿久津組の親分・阿久津剛三(河津清三郎)に会場建設の全権を寄越せと迫られた鳶政(加藤嘉)が、これを跳ねつけて阿久津の子分・三日仏(天津敏)に殺された。
それならばと、秀次郎は博覧会の入札で阿久津一家の不正を暴き、博覧会状の建設を一手に引き受ける権利を落札。
これを逆恨みした阿久津は様々な嫌がらせを繰り返し、秀次郎の弟分・音吉(山城新伍)が殺され、その恋人だった芸妓・染次(牧紀子)も自殺、あげく工事現場に放火されるに及んで、ついに秀次郎の堪忍袋の緒が切れる。
単身阿久津一家に乗り込んだ秀次郎に、昔馴染みの親友で、阿久津に盃を返した代貸・風間重吉(池部良)も同行。
クライマックスでは健さんが唐獅子牡丹の刺青姿で大立ち回りを演じ、阿久津と三日仏に見事復讐を果たすと、恋人で重吉の妹・文代(藤純子)に涙ながらに見送られてお縄となる。
プロデューサーは俊藤浩滋、監督はマキノ雅弘、撮影は星島一郎と、東映任侠路線をドル箱として確立させたチームで、1時間半の尺できっちりとファンを楽しませる仕事ぶりは一見非の打ちどころがない。
あるとすれば、死体になったはずの山城新伍が、健さんに目蓋を閉じられる前に自ら目をつぶってしまい、それが撮り直しもされずに映っちゃっているあたりか(粗探ししてすみません)。
オススメ度B。
ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2022リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録
23『大コメ騒動』(2021年/ラビットハウス)C
22『王の願い ハングルの始まり』(2019年/韓)A
21『フラッシュ・ゴードン』(1980年/米)B
20『タイムマシン』(2002年/米)C
19『アンダーウォーター』(2020年/米)C
18『グリーンランド−地球最後の2日間−』(2020年/米)B
17『潔白』(2020年/韓)B
16『ズーム/見えない参加者』(2020年/英)C
15『アオラレ』(2020年/米)B
14『21ブリッジ』(2019年/米)B
13『ムニュランガボ』(2007年/盧、米)C
12『ミナリ』(2020年/米)A
11『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』(2021年/東宝映像事業部)C
10『死霊の罠』(1988年/ジョイパックフィルム)C
9『劇場版 奥様は、取扱注意』(2021年/東宝)C
8『VHSテープを巻き戻せ!』(2013年/米)A
7『キャノンフィルムズ爆走風雲録』(2014年/以)B
6『ある人質 生還までの398日』(2019年/丁、瑞、諾)A
5『1917 命をかけた伝令』(2020年/英、米)A
4『最後の決闘裁判』(2021年/英、米)B
3『そして誰もいなくなった』(2015年/英)A
2『食われる家族』(2020年/韓)C
1『藁にもすがる獣たち』(2020年/韓)B