20世紀FOXが最後に配給するクリステン・スチュワート、ヴァンサン・カッセル出演の深海パニックスリラー! という触れ込みなので大いに期待したけれど、正直なところ、イマイチでした。
と言っても、デキが悪いというわけではありません。
舞台はマリアナ海溝、ティアナという巨大エネルギー会社が1万メートル以上の深海に建設した掘削工場兼研究所。
ここに長期間勤務している主人公ノラ・プライス(スチュワート)が「ずっと深海にいると昼夜の区別がつかなくなるのよね」とつぶやいていた矢先、海底地震が発生して施設のあちこちが破壊されて大量の浸水が始まる。
多くの職員が溺れ死んでしまった中、ノラはW・ルシアン・キャプテン(カッセル)ら生き残ったメンバー6人とともに必死の脱出行を開始。
深海ならではの暗闇の恐怖、崩れ落ちた施設内部の閉塞感、その中を這って移動する息苦しさがリアリティたっぷりに描かれていて、しばらくは目が離せない。
そこへ、地震によって目覚めたらしい凶悪なクリーチャーが次々に来襲。
ひとり、またひとりとメンバーが犠牲になってゆくあたりから、だんだん定石通りの展開が読めてしまうんですよね。
僕のような昭和世代の映画ファンにとって、深海パニックスリラーと言えば、何と言ってもジェームズ・キャメロン監督の『アビス』(1989年)。
当時は『ザ・デプス』、『リバイアサン』など、製作中に流出した『アビス』の脚本をパクったとしか思えない映画が同じ年の1月に公開され、おかげで8月に公開された本家『アビス』は興行的に大コケしたらしい。
そんなことを知っているオールドファンにとって、この映画は始終既視感がつきまとう。
潜水用ヘルメットをかぶったクリステンセンの横顔をクローズアップしたショットは『アビス』のメアリー・エリザベス・マストラントニオを彷彿とさせるし、襲いかかってくるクリーチャーもハッキリ言って『エイリアン』(1979年)そっくりだし、そう思って観るとノラのキャラクターもエレン・リプリー(シガーニー・ウィーバー)とかぶっているようにも見えるし。
もっとも、製作者側もそれは十分承知の上だったのか、クリーチャーの存在感がほのめかされる序盤、カッセル(もう55歳)が「『海底二万哩』(1954年)みたいなのは勘弁してくれ」というセリフをしゃべっているのには笑ったな。
あの映画でノーチラス号に襲いかかってくるのは巨大なイカ、いや、タコだったっけか?
ともかく、そんな昔のSF映画を知らない世代のファンには、本作もそこそこ楽しめると思います。
作品中、「ペチャパイの妖精」とセクハラワードをぶつけられるクリステンセン(まだ31歳)も相変わらず魅力たっぷり。
オススメ度C。
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A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録
18『グリーンランド−地球最後の2日間−』(2020年/米)B
17『潔白』(2020年/韓)B
16『ズーム/見えない参加者』(2020年/英)C
15『アオラレ』(2020年/米)B
14『21ブリッジ』(2019年/米)B
13『ムニュランガボ』(2007年/盧、米)C
12『ミナリ』(2020年/米)A
11『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』(2021年/東宝映像事業部)C
10『死霊の罠』(1988年/ジョイパックフィルム)C
9『劇場版 奥様は、取扱注意』(2021年/東宝)C
8『VHSテープを巻き戻せ!』(2013年/米)A
7『キャノンフィルムズ爆走風雲録』(2014年/以)B
6『ある人質 生還までの398日』(2019年/丁、瑞、諾)A
5『1917 命をかけた伝令』(2020年/英、米)A
4『最後の決闘裁判』(2021年/英、米)B
3『そして誰もいなくなった』(2015年/英)A
2『食われる家族』(2020年/韓)C
1『藁にもすがる獣たち』(2020年/韓)B