『タイムマシン』(WOWOW)🤨

The Time Machine
96分 2002年 アメリカ=ドリームワークス、ワーナー・ブラザース

原作はご存じSF小説の始祖H.G.ウェルズが1895年に発表した同名小説で、1960年の映画化版『タイム・マシン 80万年後の世界へ』のリメイク作品でもある。
製作はスピルバーグが設立したドリームワークス、監督は原作者の曾孫サイモン・ウェルズ、VFXは『タイタニック』(1997年)の沈没シーンを手がけたデジタル・ドメインと、スタッフは〝万全の布陣〟だったと言ってもいいだろう。

僕は原作を読んでいないし、元ネタとなった前作も観ていないのだが、主人公の大学教授アレクサンダー・ハーデゲン(ガイ・ピアース)が発明したタイムマシンは原作のイメージに忠実に再現されているという。
1899年、アレクサンダーがこのマシンを開発したのは、フィアンセのエマ(シエンナ・ギロリー)にプロポーズした夜、拳銃強盗に彼女を撃ち殺されたため、過去に遡って彼女を救いたかったからだった。

ところが、せっかく過去に戻って強盗事件を回避したのに、エマは今度は馬車に跳ねられて死んでしまった。
どうして彼女を救うことができないのか、原因を突き止めるため、アレクサンダーは1899年から2030年の未来に行き、ニューヨーク公共図書館に足を運ぶが、擬人化されたVOXシステム(オーランド・ジョーンズ)に「タイムトラベルはSF小説の産物であり、現実には不可能です」と回答される。

そこでさらに2037年まで行ったら、乱開発によって爆発事故を起こした月が地球に向かって落下する寸前。
慌ててタイムマシンに戻り、時間旅行中に気を失ったアレクサンダーが目を覚ましたら、そこは文明社会が完全に壊滅し、原始人のような人間たちが暮らす80万2701年だった。

この時代の人類は地上に住むエロイ、地下にいて時折エロイを捕獲にやってくるモーロックの2種類に分かれて、それぞれ独自のコロニーを築いていた。
川辺の切り立った崖に並ぶエロイの村に連れて行かれ、マーラ(サマンサ・マンバ)、ケイレン(オメーロ・マンバ)の家に身を寄せたアレクサンダーは、ここで凶暴なモーロックの一群と対決することになる。

このあたりに来ると序盤のクラシカルな雰囲気は完全に吹っ飛び、恋人エマの蘇生という当初の目的もどこかへ行って、何だか在り来たりな近未来ディザスタームービーか、パラレルワールド映画のようになってしまう。
ただ、クライマックスではアレクサンダーが過去を修正できない理由が明らかにされ、これが実に論理的で十分納得できたことには、さすがH.G.ウェルズと感心させられましたが。

オススメ度C。

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A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

19『アンダーウォーター』(2020年/米)C
18『グリーンランド−地球最後の2日間−』(2020年/米)B
17『潔白』(2020年/韓)B
16『ズーム/見えない参加者』(2020年/英)C
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14『21ブリッジ』(2019年/米)B
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11『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』(2021年/東宝映像事業部)C
10『死霊の罠』(1988年/ジョイパックフィルム)C
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3『そして誰もいなくなった』(2015年/英)A
2『食われる家族』(2020年/韓)C
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スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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