ハリウッドの黒人俳優としては近年最も秀でたスター性と演技力の持ち主で、政治的発言でも多大な影響力を示していたチャドウィック・ボーズマン最後の主演作品。
本作の撮影当時は2017年に見つかった大腸がんがかなり進行していたらしく、『42〜世界を変えた男〜』(2013年)や『ブラックパンサー』(2018年)のころに比べると明らかに痩せている。
ボーズマン演じるアンドレ・デイビス刑事はNYPD(ニューヨーク市警)85分署に勤務する刑事で、13歳のときにやはり刑事だった父を逮捕しようとした容疑者に撃ち殺された過去を持つ。
父の遺志を継いで自らも警察官になって10年、容疑者を8人射殺したことからNYPDの内務調査の対象となっていた。
そうした最中のある夜、マイケル・トルヒーヨ(ステファン・ジェームス)、レイモンド・ジャクソン(テイラー・キッチュ)がブルックリンのワイナリーを襲撃し、地下の冷凍庫に隠されていた純度の高いヘロインを強奪する。
彼らはプロのギャングではなく、強盗の依頼を受けた元軍人で、当初は30㎏と聞かされていたヘロインが100㎏もあり、盗みの最中に突然警官隊がやってきたことに驚愕。
しかも、警官たちがいきなり発砲してきたため、マイケルとレイも応戦せざるを得ず、マシンガンで警官たち8人を射殺。
この事件を担当することになったデイビスは、マンハッタン島と外部をつなぐ21本の橋、3本のトンネル、ハドソン川のすべてを封鎖してマイケルとレイを追い詰めようと計画する。
当初はデイビスのプランに難色を示していたFBIは、早朝5時までに犯人たちを逮捕することを条件に承諾。
85分署のマット・マッケナ署長(J・K・シモンズ)は警官殺しは必ず逮捕すると意気込み、総動員態勢を敷いた上、麻薬取締班の敏腕女性刑事フランキー・バーンズ(シエナ・ミラー)をデイビスの相棒につける。
一方、思いがけず警官殺しの犯人になってしまい、指名手配されて追われる羽目になったマイケルとレイは、強盗の依頼人ホーク・タイラー(ゲイリー・カー)から100万ドルの報酬を受け取り、偽造パスポートで外国へ高跳びしようと目論む。
ところが、偽造とマネーロンダリングのプロ、アディ(アレクサンダー・シディグ)のマンションを訪ねた矢先、ここにもいち早く警官隊がやってきて、またもやたちまち銃撃戦となった。
実はこの裏側に…というここから先は書けないのだが、このシナリオは少々急ぎ足が過ぎるように感じた。
ボーズマンは熱演だし、そこそこ面白くはできているものの、ネタになるツールの扱いがいささか乱暴で、エンディングもいまひとつ消化不良でしたね。
オススメ度B。
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A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録
13『ムニュランガボ』(2007年/盧、米)C
12『ミナリ』(2020年/米)A
11『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』(2021年/東宝映像事業部)C
10『死霊の罠』(1988年/ジョイパックフィルム)C
9『劇場版 奥様は、取扱注意』(2021年/東宝)C
8『VHSテープを巻き戻せ!』(2013年/米)A
7『キャノンフィルムズ爆走風雲録』(2014年/以)B
6『ある人質 生還までの398日』(2019年/丁、瑞、諾)A
5『1917 命をかけた伝令』(2020年/英、米)A
4『最後の決闘裁判』(2021年/英、米)B
3『そして誰もいなくなった』(2015年/英)A
2『食われる家族』(2020年/韓)C
1『藁にもすがる獣たち』(2020年/韓)B