15年ぶりにハンドメイドバイシクル展を訪ねたら②🚲

きのう22日、きょう23日、北の丸公園の科学技術館催物場で開催されているハンドメイドバイシクル展(HANDMADE BICYCLE 2022)、15年ぶりに訪ねて驚いたのは、昔より規模が大きく、雰囲気が明るくなり、様々な興味深い展示物が増えたこと。
最初の展示会場・2号催物場に入った途端、誰の目にも留まるよう、かつて1964年の東京オリンピックのために製作されたロードバイクの名車がフロアの真ん中に展示されていました。

1964年東京オリンピックのロードレース用予備車
1940年代に土屋製作所で作られたトラックレーサー・エバレスト・チャンピオンはリムが木製

この2号催物場の隣、1号催物場では土日の2日間にそれぞれ2回ずつ、自転車界のレジェンド・ビルダーによるトークショーも行われていました(一昨年は生前の廣瀬秀敬さんも登壇)。
土曜は主催の一般財団法人・自転車普及協会の主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパンの大会ディレクターで、JSPORTSのプロロードレース中継の解説でも有名な栗村修氏がMCを務めている。

こういう貴重な付加価値となるイベントも、15年前はまだなかったんじゃなかったか。
時代は変わったな、と思いながら3号催物場に足を向け、トーエイ(東叡社)のブースを訪ねてさらにびっくり!

トーエイのポタリング車(左)とランドナー(右)

トーエイは僕が生まれる前の1955年創業で、我が国のランドナーやフレームビルドの草分け的存在。
そのクラシカルなスタイルには根強いファンが多く、専門誌がオーナーの投稿写真を集めた写真集を発行し、これがマニアの間でカルト的人気を博したほど(僕も古書店で1冊買いました)。

画像右は、そうした半世紀以上に及ぶ伝統を踏襲したトーエイならではのクラシカルなランドナー。
が、その左に展示されているポタリング車はまるでトーエイらしくなく、なんなんだ、これは? とブースの前で首を捻っていたら、東叡社の方が「この自転車のオーナーは大変な猫好きなんですよ」。

ステムは猫の足
チェーンリングは猫の顔
ボトルケージも猫型
メーンチューブについている猫は何のためかわかりません

ちなみに、フレームの塗装もオーナーの飼っている愛猫を模したものらしい。
ただし、ステム、チェーンリング、ボトルケージなどのパーツはすべてオーナーからの持ち込みで、トーエイが製作したものではもちろんない。

しかし、トーエイではいま、あらゆる最新のパーツに対応できる自転車作りをしているそうです。
「最新のパーツにも対応できるし、ギヤが11枚でも12枚でも大丈夫だし、電動自転車でも作りますよ」という東叡社の方の説明に時代の移り変わりを感じつつ、やはりビルダーの老舗アマンダのブースへ移動。

アマンダはいまも木製の肉抜きホイールが特長
ズラリと並んだファッショナブルなモデル

15年前に木製のフレームとホイールで注目されたアマンダは、現在も独特の温かみがあるフォルムが特徴。
昔から一度乗り味を体験してみたいと思ってるんだけど、そのたびにお値段と懐具合と相談すると、ちょっと、いや、もしかしたら一生手が出そうにありません。

中世欧州時代の自転車を思わせる独特のフォルム

木という素材に対するこだわりでは、もっと驚かされたのが佐野マジックのマホガニー製ロードバイク。
ここまでくると、自転車のカテゴリーを超えた現代芸術のように思えなくもない。

参加者の撮影率、写メ率も高かった
バルブキャップまでマホガニー製

このほかにも、今回の展示会にはいろいろと個性的な手作り自転車がいっぱい。
41社が出展した中、31枚写真を撮ったけれど、とても全部はアップしきれないので、以下、順を追って印象に残った自転車の画像を貼っておきます。

BIKE&HIKEの競技用タンデム自転車
同じくBIKE&HIKEのリカンベント
東京サイクルデザイン専門学校のロードバイク
丸屋自転車のDAIKOKUは塗装に漆を使用し、英国の2019年ハンドメイドバイシクル展でThe outstanding Finish/Paint Awardを受賞

ほかにも載せておきたい自転車の写真はいっぱい撮りましたが、キリがないのでこのへんにしておきます。
会場は結構な賑わいで、帰りに出口でアンケート用紙を提出したら、ツアー・オブ・ジャパンのグッズを記念品として渡されたのはうれしかったな。

ただ、アンケートの最後のほうの質問に、「来年から有料になっても来られますか?」「来るとしたらいくらくらいまでが希望ですか?」という項目があったのが気になりましたね。
入場料が500円以下で、チャリ友・タムニィが来年も新作を出展するのならまた来てもいいけどって、セコイか😅。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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