『聖刻』堂場瞬一😁😥

発行:講談社 第1刷:2021年8月23日 1700円=税別

全盛期の小倉智昭かみのもんたを思わせるワイドショー番組の司会者の息子、自身も元俳優で映画監督を目指していた学生が、元恋人を殺害した容疑で逮捕される。
事件が明るみに出ると、大物司会者の父親はすぐさま会見を開き、自分の名前を冠した番組を降板すると発表。

司会者の家族は妻が元アナウンサーで、学生の妹も女性ファッション誌のモデルという芸能一家だったことから、広尾の瀟洒な自宅の前に報道陣が殺到し、SNSでは誹謗中傷、罵詈雑言を浴びせられて大炎上。
そうした最中、捜査一課の女性刑事・柿谷晶は、刑事部総務課からこの司会者一家をケアするよう指令を受ける。

渦中の学生は容疑を認めながらも、動機については頑なに口を閉ざしたまま。
やがて、彼の妹のモデルもストーカーに悩まされていることや、彼女に共感を寄せる晶自身にも他人に打ち明けられない家族の秘密があることがわかってくる。

テレビの有名人がネットによって袋叩きにされ、その背景には現代社会ならではの心を病んだ人間たちがいた、といういかにも今風のミステリーで、最後まで退屈させずに読ませる。
ただ、こういう小説は主人公が感情移入できるキャラクターかどうかで成否が分かれると思うが、正直なところ、本作の晶は読者によってかなりの個人差があるようにも感じました。

😁😥

2022読書目録
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1『賭博常習者』園部晃三(2021年/講談社)😁🤔☺️🤓

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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