NHKドキュメンタリーの好企画、ナレーションを入れない30分の〈ノーナレ〉シリーズで秋田魁新報が取り上げられた。
コンビニでの強盗対策訓練、東京オリンピックの聖火リレー、高校野球の地方予選など、地方ならではのネタの取材に奔走する若き記者たちの姿が描かれる。
魁の社内、とりわけ編集フロアにテレビカメラが入ったのは初めてだそうで、記者の使うパソコンの画面、そこに映った記事のフォルム、締切間際に社員が手にしているゲラ、さらにその記者が上り下りするフロア内の階段など、細かいディテールがいちいち興味深い。
数年前に一度訪ねた東スポもそうだけれど、今時の新聞社は本当に清潔でキレイになったなあ、と改めて思う。
一番の見せ場はやはり、イージス・アショア配備計画の不備を入念に調査し、ついに防衛省をして断念に追い込んで、新聞協会賞を受賞した2019年のスクープ報道。
魁は記者の人数にも限りがあり、一分野の専門家もいないので、いつもみんなが知恵と情報を持ち寄って誌面を作っている、という統合編集本部長のコメントが重い。
社会部長自ら記事の一文字一文字にエンピツを入れ、よりベターな表現を模索して話し合う場面も印象に残る。
こういう新聞社に比べたら、俺がいたころ(1986〜2006年)の日刊現代は…いや、ああいう時代のああいう会社にもそれなりにいいところはありましたが。
オススメ度A。