1980年代、個性的な映画監督・脚本家9人が結成し、当時映画界に旋風を巻き起こした独立プロダクション、ディレクターズ・カンパニー(略称ディレカン)製作のホラー作品。
邦画初のスプラッター映画と言われ、現在は一部マニアの間でカルト化しているらしく、ブルーレイ版も販売されている。
監督・池田敏春は日活出身で、原作者・石井隆が脚本を書いた『天使のはらわた 赤い淫画』(1982年)の内容をめぐって会社側と衝突。
長谷川和彦が中心となって立ち上げたディレカンに身を投じ、同プロダクション第1作の白戸真里主演『人魚伝説』(1984年)で評価を高めた。
その池田が石井と組んだ4本目の本作は、アイデアとストーリーはなかなか面白い。
女性だけの番組プロダクションにスナッフフィルム(本当の殺人、もしくはそう見せかけた映画)のVHSが送られてきて、これはネタになると取材に取りかかった女たちがヒドイ目に遭い、次々に殺されていく。
主要キャラクターは、プロダクションのリーダー兼キャスターが小野みゆき(トップモデル兼女優)、シナリオライターが桂木文(アイドル)、スタイリストが小林ひとみ(AV女優)、デスクが中川えり子(同)などなど、それぞれのジャンルで1980年代を代表していたタレントたち。
スナッフビデオが面白いネタになると踏んだ小野が、売り込みをかける番組プロデューサーが島田紳助、というキャスティングも時代を感じさせる。
一時代を築いた小林ひとみはお約束の脱ぎっぷりでなかなかハッスル。
ただ、同じAV女優としてカリスマ的人気を誇った広島出身の中川えり子のほうは、いまひとつ露出に乏しかったのはちょっと残念だったな。
最も衝撃的だったのが、アイドルとしては旬が過ぎていたとはいえ、まだ28歳だった桂木文が身体を張った凄絶な見せ場。
この場面は、超残酷なスプラッター映画として賛否両論だったコリアン・ホラー『悪魔を見た』(2010年)のクライマックスに優るとも劣らないほどだった。
池田と石井は十八番の夜間撮影と水の多用にこだわり、アイデアは『マニトウ』(1978年)、音楽は『エクソシスト』(1973年)や『サスペリア』(1977年)など、本作の前にヒットした欧米のホラー映画を彷彿とさせる。
というわけで、1980年代に多感な映画小僧だった僕のような世代にはそれなりに楽しめるけれど、今時の若い映画ファンが観て面白いと思えるかどうかはわかりませんね。
オススメ度C。
ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2022リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録
9『劇場版 奥様は、取扱注意』(2021年/東宝)C
8『VHSテープを巻き戻せ!』(2013年/米)A
7『キャノンフィルムズ爆走風雲録』(2014年/以)B
6『ある人質 生還までの398日』(2019年/丁、瑞、諾)A
5『1917 命をかけた伝令』(2020年/英、米)A
4『最後の決闘裁判』(2021年/英、米)B
3『そして誰もいなくなった』(2015年/英)A
2『食われる家族』(2020年/韓)C
1『藁にもすがる獣たち』(2020年/韓)B