最近はプロ野球の球場取材もだいぶ規制が緩やかになっていて、試合前にスタンドから打撃練習を見ることができる。
コロナ前のようにグラウンドへ降りられたほうがいいに決まっているが、神宮はグラウンドとスタンドの距離が比較的短いため、割としっかり各選手のスイングをチェックすることが可能だ。
まあ、そんなエラソーなこと言っても、現場のコーチや経験者の評論家みたいに、技術的な細かいことまでわかるわけじゃありませんけどね。
ただ、村上は相変わらず振れているなあ、と感心したり、塩見は時々高津監督と雑談して楽しそうだなあ、と思いながら、実はああいう声がけが監督ならではの気遣いなのだろうと勝手に想像したり。
そんな光景を見たり、雑談を聞いたり、雰囲気を感じたりするだけでも、ネット裏2階席の〝臨時記者席〟に上げられっぱなしだった去年の夏場とは全然、違います。
さらに、三塁側のスタンドにいれば、レフトポールから三塁側ベンチへ向かうDeNAの知り合いに挨拶したり、雑談したりすることもできる。
フェンス越しに挨拶した田代巡回打撃コーチは、このところ打てずに連敗しているだけに、さすがに渋い表情。
こういうときは当然話も弾まないもので、やっとこさ聞き出した一言二言もコメントとしては使えません。
さて、試合前メシはネット裏売店の中で一番の老舗〈欅〉のカルビ丼、通常なら750円のところ、温玉を乗せたら100円増しの850円。
僕がこの仕事を始めた1988年ごろ、神宮の売店と言えば、この〈欅〉、そば・うどん、ごく普通の弁当屋(当時は選手のキャラクター弁当なんてなかった)ぐらいしかなかった。
当時は現在のように球場の斜向かいや外苑駅周辺のコンビニもなく、3連戦を3日続けて取材するとなると、いつも日替わりでこの3店のメニューを食べていたものです。
それから年々、新たな飲食店が増え、コロナ前の数年間、しょっちゅう食べていたのがレフトスタンドの下にできた〈ワールドフーズ〉の生姜焼き丼750円。
ところが、昨年来のコロナ禍による入場制限で〈ワールドフーズ〉が閉店してしまい、昨年からまた〈欅〉に先祖返り。
ちなみに、〈欅〉のマスターは野球記者業界でも有名な神宮の〝名物シェフ〟で、僕がここに通い始めた30年以上前から厨房とレジに立っている。
きょう、カルビ丼を買ったとき、改めて「何年やってるの?」と尋ねたら、「60年以上たってからは数えないようにしてるんだよ」。
そう言えば、昔からこれがこの親父さんの決まり文句だったことを、久しぶりに聞いて久しぶりに思い出しました。
なお、試合はDeNAが前半で7点を奪い、ヤクルトに追い上げられながらも7-5で逃げ切りに成功。
ベンチ入りしていた9人中8人を使い、九回だけで山﨑康、田中健、平田の3人を注ぎ込んだ三浦監督の執念の継投で勝利をもぎ取りました。