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最近のプロ野球、久しぶりに〝サイン盗み〟が大きな話題となっている。
6日のヤクルト-阪神戦で、二塁走者の阪神・近本がヤクルト捕手・古賀のサインを〝ノゾキ見〟し、打者に伝えているのではないか、とヤクルト・村上がカミついたのが事の発端。

それから4日後の10日、中日−阪神二軍戦でも、阪神の二塁走者が同様の行為をしたという疑惑を持たれ、中日・仁村、阪神・平田両二軍監督が激しく罵り合っている。
そこで、僕が思い出したのが、30年近く前、某球団のコーチと選手のこんなやり取り。

コーチが「二塁へ行ったら(打者に)コースを伝えろよ。高校で教わっただろ」。
怒られた選手は「すいません。以後、気をつけます」と頭をペコリ。

もちろん、グラウンド上であからさまにそんな〝指導〟をしていたわけではない。
が、当時はそういう光景が当たり前だったくらい、「野球にノゾキやサイン盗みは付き物」というのが半ば常識だったのだ。

そうした実態を率直に指摘していたのが、かつてのヤクルト・野村監督。
1998年10月30日、セ・リーグ監督・代表者会議の前日、スパイ行為を問題にするのか報道陣に聞かれ、ハッキリとこう答えたのである。

「毎年、その話が出とるんや。
何年か前、監督同士で、やめようや、と紳士協定を結んだが、本当に守られとるんかと」

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スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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