ハマスタは燃えているが⚾️🦠

スタンドの階段でトレーニングをする山﨑康

試合前、一塁側スタンドで知り合いの記者やカメラマンと雑談していたら、不意にカメラマンが背後を振り返って何かバシャバシャと撮り始めた。
僕もつられて振り返ると、山﨑康がゴムチューブで後ろから引っ張ってもらいながら、階段でダッシュを繰り返している。

山﨑康は昨季、プロ入り以来最悪の成績に終わり、守護神の座を三嶋に譲って、太り過ぎではないかと指摘されていた。
が、今季はここまで、主に八回のセットアッパーとして15試合に登板し、10試合連続無失点、防御率1.26と好調。

その裏側では、こういうメニューに力を入れて身体のキレを維持しているのだということがよくわかった。
その後、グラウンドに目を戻すと、開幕からレギュラーに定着しているドラフト2位新人・牧が黙々とバント練習をしている。

マシンでバントを繰り返す牧

僕は自分の単行本処女作が『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(2003年/講談社)だったこともあり、打者を見る際、バント練習をきちんとやっているかどうかをひとつの判断基準にしている。
その点、すでに犠打1個を記録している牧の態度は申し分ない。

このようにベイスターズの選手たちは投打ともにしっかり準備していて、チームの状態も上がっている。
実際、きのうはカモにされていたヤクルト相手に逆転勝ちし、このカード初白星を挙げた。

連休初日、青く染まったハマスタのスタンド

ところが、僕が取材に来ている日はどうしても勝てなくて、この試合前まで11戦0勝。
いい加減で勝ちゲームを観たい! と思っていたきょうも、前半で戸柱の2打席連続本塁打という滅多にない大活躍で0-4から7-4と逆転しながら、六回に3点を取られて同点に追いつかれてしまった。

あ~あ、また引き分けか、ひょっとしたら負けか、と悪い予感が脳裡をよぎった矢先の八回、桑原が勝ち越しソロ本塁打をパッカ~ン!
その直前の八回表を山﨑康、直後の九回表を三嶋が打者3人でピシャリと抑えたピッチングも素晴らしかった!

これでベイスターズは今季めて本拠地2連勝、2カード連続勝ち越し、ヤクルト戦初の勝ち越しと初物づくし。
ちなみに、個人的には、本拠地でのハイタッチやヒーローインタビューを観たのも初めてだった。

勝利のハイタッチ
お立ち台に上がったのは左から勝ち越し本塁打の桑原、二回途中から急遽登板してゲームを作った石田、野球人生初の2打席連続本塁打で一度は同点に追いついた戸柱

しかし、旧知のDeNA関係者いわく、「こういうときこそ、健康管理もしっかりしなくちゃな、日本ハムで(感染者が)出たばかりだから」。
その日本ハムと同様、先に感染者が出た巨人も、ともにきょうの試合を延期している。

そういう事実を踏まえて、きょう15832人が詰めかけたことを考えると、やはり背筋が伸びる思いがする。
勝って兜の緒を締めるだけでなく、感染防止を忘れてはいけない、と再認識した一日だった。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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