クリント・イーストウッドがケヴィン・コスナーと初共演した作品、というよりも、イーストウッドが監督したコスナー主演作品、といったほうが正確だろう。
主役は子供を連れて逃亡を続けるコスナーのほうで、追跡する警察署長役のイーストウッドは完全に脇に回っている。
1963年のテキサス州、コスナー演じる主人公ブッチ・ヘインズ(コスナー)が同房のテリー・ピュー(キース・ザラバッカ)とともに刑務所から脱獄し、アラスカを目指して逃亡する。
製作当時のコスナーはハリウッドの典型的な二枚目スターだったから、脱獄囚とはいえ、観客がドン引きするような悪辣な真似はしない。
しかし、8歳の少年フィリップ(T・J・ローサー)を人質として同行させてからは、フィリップに手をあげようとしたテリーを容赦無く射殺。
通りがかりの店で買い物をするときも、ブチ切れるとショーウインドウに銃弾を撃ち込んで粉々にするなど、意外に凶暴な面も見せる。
ブッチを追う署長レッド・ガーネット(イーストウッド)は保安官時代、自動車泥棒をした少年時代のブッチの裁判に出廷したことがあり、彼が実の父親に虐待されていたことを知っていた。
一方、ブッチがアラスカに向かった理由は、その父親が昔一度だけ刑務所に寄越したのがアラスカの絵葉書だったからで、ブッチはその絵葉書をいまも肌身離さず持ち歩いている。
非常に泣かせる設定だが、このブッチの父親に対する愛憎が悲劇的な最期を招くことになるのだろう、という結末は観ているうちに察しがつく。
案の定、エンディングはこうしなければ映画にならないだろうという終わり方で、イーストウッドの演出はいささか間延びしており、いまひとつサスペンスと盛り上がりに欠けた。
イーストウッドに同行する犯罪心理学者サリー・ガーバー(ローラ・ダーン)は見せ場が少なく、ひとりで悪役を背負わされたFBI捜査官ボビー・リー(ブラッドリー・ホワイトフォード)も取ってつけたようなキャラクターに見える。
コスナーと子役ローサーのおかげで、それなりに楽しめる出来栄えには達しているが。
オススメ度B。
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A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録
22『泣かないで』(1981年/米)C
21『追憶』(1973年/米)B
20『エベレスト 3D』(2015年/米、英、氷)B※
19『運命を分けたザイル』(2003年/英)A※
18『残された者 北の極地』(2018年/氷)C
17『トンネル 9000メートルの闘い』(2019年/諾)C
16『ザ・ワーズ 盗まれた人生』(2012年/米)A※
15『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(2019年/仏、比)A
14『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン6』(2018年/米)C
13『大時計』(1948年/米)B
12『汚名』(1946年/米)B
11『マザーレス・ブルックリン』(2019年/米)B
10『エジソンズ・ゲーム』(2017年/米)C
9『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019年/米)C
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7『ジョン・ウィック』(2014年/米)C
6『容疑者、ホアキン・フェニックス』(2010年/米)C
5『宇宙戦争』(2005年/米)B
4『宇宙戦争』(1953年/米)B
3『宇宙戦争』(2019年/英)B
2『AI崩壊』(2020年/ワーナー・ブラザース)B
1『男はつらいよ お帰り 寅さん』(2019年/松竹)C