『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン6』(WOWOW)🤨

House of Cards: Season 6 全8章 各章43〜59分 2018年
 アメリカ:ネットフリックス、ソニー・ピクチャーズ・テレビジョン

昨年から1話も漏らさずに観続けてきたネットフリックス初のエミー賞受賞ドラマも、このシーズン6第8話、通算第73章をもって大団円となった。
ただし、シーズン6の撮影開始直後にケヴィン・スペイシーがセクハラ疑惑で降板せざるを得なくなり、急遽書き直されたという脚本には粗も目立つ。

第1話(第66章)からフランク・アンダーウッド前大統領(スペイシー)はすでに死後数カ月経つ、という設定になっていて、スペイシーの画像や音声は徹底的に排除されている。
回想シーンがまったく挿入されていないのをはじめ、新聞紙上の写真ですらフランクの顔が映されず、最終話でダグ・スタンパー(マイケル・ケリー)が明るみに出すフランクの日記録音の声も流されない。

シーズン5終盤、弾劾裁判にかけられたフランクが辞任したことにより、副大統領から大統領に昇格したクレア(ロビン・ライト)は、姓をアンダーウッドから旧姓ヘイルに戻している。
製作総指揮、監督を兼務するライトをはじめ、脚本家チームはクレアの新たな敵が必要だと考えたらしく、ダイアン・レイン扮するクレアの幼馴染で巨大な財団を運営するアネット・シェパードが登場。

この女同士のいがみ合い、足の引っ張り合いはアイデアとしては面白い。
が、権謀術数の限りを尽くしていたフランクと、ロシアのヴィクトル・ペトロフ大統領(ラース・ミケルセン)、新聞記者ルーカス・グッドウィン(セバスチャン・アーセラス)やトム・ハンマーシュミット(ボリス・マッギヴァー)らとの対決と比べると、やはり迫力不足に映る。

そのハンマーシュミット、キャサリン・デュラント元国務長官(ジェーン・アトキンソン)、ジェーン・デイヴィス(パトリシア・クラークソン)商務省国際貿易局副次官らは、クレアの差金によって次々に暗殺される。
フランクがシーズン1でピーター・ルッソ(コリー・ストール)、シーズン2でゾーイ・バーンズ(ケイト・マーラ)を、ダグがシーズン3でレイチェル・ポズナー(レイチェル・ブロズナハン)を殺したあたりまでは衝撃的だったが、ここまで殺人が続くとさすがに空々しさ、嘘っぽさが鼻についた。

クライマックスはホワイトハウスの大統領執務室におけるクレアとダグの〝最終決戦〟。
最終話の監督も務めたライトによれば、エンディングは3通り考案され、スタッフとの議論の末にこういう結末が選ばれたという。

尻切れトンボにも感じられる唐突な幕切れではあるものの、ネット配信ドラマとしては、こういう手法も有りかもしれない、と個人的には思った。
スペイシーが降板してはここまでが限界だったか、それとも不測の事態に見舞われながらも、ライトやスタッフはよく頑張ったほうだと見るか、視聴者によって評価の分かれるファイナルシーズンだった。

オススメ度C。

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A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだ ったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

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スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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