BBCのテレビドラマ版『宇宙戦争』(2019年)のWOWOW初放送に合わせて、1953年版とともにオンエアされた2005年版。
本作は劇場公開時に観ており、そのときはスピルバーグ作品としては平均的な出来栄えのように感じたのだが、改めて先に放送された2作品と比べてみると、SFパニック映画としては最も完成度が高い。
最も際立っているのは、展開の速さと音響の効果である。
ニューヨークの地下から「ブオオオ〜ン」というサイレンのような轟音とともにトライポッドが出現するや、中間子破壊光線で次々に街と人々を破壊して回り、観客に息つく暇を与えない。
ハドソン川を渡るフェリーに避難民が溢れかえっているところをトライポッドが襲ったり、一夜明けて主人公のトム・クルーズが地下室から戸外に出たらボーイング747が墜落して粉々になっていたり、大がかりな見せ場を矢継ぎ早にテンポよくつないでいるあたりはさすがスピルバーグ。
娘役のダコタ・ファニングが用を足そうと川縁まで来たら、上流からいくつも死体が流れてくる戦場さながらのシーンも印象に残る。
ただし、純粋なSF娯楽超大作として作られていた1953年版に比べると、2001年の同時多発テロ事件「9.11」を想起させる演出が目立ち、全体的に陰鬱な雰囲気の濃い作品になっている。
トライポッドの造形がSF映画にありがちな宇宙人のグレイにそっくりなのも個人的な好みに合わず、タイトルクレジットのCGでオチがわかってしまうところももったいない。
もっとも、スピルバーグとしてはH・G・ウェルズの原作、ジョージ・パルとバイロン・ハスキンの1953年版へのリスペクトを込めたオマージュのつもりだったのかもしれないが。
なお、エンディングで1953年版のカップル、ジーン・バリーとアン・ロビンソンがカメオ出演していることは、今回の再見で初めて知った。
オススメ度B。
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※再見、及び旧サイトからの再録
4『宇宙戦争』(1953年/米)B
3『宇宙戦争』(2019年/英)B
2『AI崩壊』(2020年/ワーナー・ブラザース)B
1『男はつらいよ お帰り 寅さん』(2019年/松竹)C