WEDGE Infinity『赤坂英一の野球丸』191

セ・リーグもパ・リーグと同じDH(指名打者)制度を導入するべきなのか、それともいままで通り9人野球を維持するべきなのか。
巨人がソフトバンクに2年連続で4連敗した日本シリーズが終わって以来、ファン、マスコミ、評論家、現場の選手たちや首脳陣の間でも侃々諤々の議論が続いている。

いったい、どちらが正しくて、どの程度の実現性があるのだろうか。
今回はDH制度に関する動きや発言、さらにこのルールの歴史と裏側を検証してみたい。

過去にも何度か持ち上がっては立ち消えになったこの問題、今回の言い出しっぺは巨人・原辰徳監督である。
昨年、ソフトバンクに4連敗した日本シリーズの翌日(2019年10月24日)、早くもこういう提言を行った。

「(パ・リーグと違って)セ・リーグにはDH制がないからね、DH制は使うべきだろうね。
(DH制がないからパ・リーグに)相当、差をつけられている感じがある。

ところが、このDH制度、そもそも最初に導入しようとしたのはセ・リーグのほうだったという。
第7代プロ野球コミッショナーを務めていた下田武三氏(元最高裁判事、故人)が回想録の中でこう明かしているのだ。

「一説によれば、一九七三年に米大リーグでアメリカン・リーグがDH制を採用した直後、日本でもセ・リーグがまずこれに着目して、その採用を検討していた、というのですね。
ところが、パ・リーグがセ・リーグに断りなしに突如…」

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スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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