ボーイング747を専用機にして国内をはじめ、世界中を飛び回っている国の首長はアメリカ大統領だけだ。
アメリカ大統領が単なる一国のリーダーではなく、世界最高の権力者であることを象徴している飛行機と言ってもいい。
現在WOWOWで放送中の『ハウス・オブ・カード 野望の階段』(2013〜18年)は、フランシス・アンダーウッド大統領(ケヴィン・スペイシー)が乗り込むエアフォース内部のシーンが多く、執務室や会議室の広さや豪華さに驚かされた。
このドキュメンタリーにはその実物が出てきて、現実はもっとデラックスであることを知らされる。
国賓を招待し、随行報道陣をもてなすため、機内にはいつも世界最高級の食材が積まれ、超一流のシェフが同乗。
万一の場合に備えて医者や看護師も乗り込み、手術までできるほどの部屋と医療器具が揃えられている。
トランプ大統領はビジネスマン時代、同じボーイング747を専用機にして「トランプ・フォースワン」と機体に書き、「オレの飛行機のほうがよっぽど豪華だ」と自慢していた。
が、2016年に自分が大統領になると、エアフォースワンの素晴らしさにすっかりハマってしまい、諸外国への訪問からホワイトハウスとフロリダの別荘の往復まで、年に25回も乗っていたという。
ちなみに、ワシントンからフロリダまで、1回の飛行にかかる費用は燃料費を含めて14万ドル(約1442万円)。
この豪華専用機にゾッコンのトランプ大統領は、現在の機体が使用期限に近づいていたことから、国家予算から約40億ドル(約4120億円)を投じて〝新エアフォースワン 〟を発注しており、完成したら機体のカラーリングも自分好みに一新するつもりだ(大逆転劇が起こって再選されれば、だが)。
1943年に初めてエアフォースワンに乗ったフランクリン・ルースベルト大統領、1963年にケネディ大統領が暗殺されて機内で大統領就任式を行なったジョンソン大統領、さらに2001年の同時多発テロの情報を機内で収集して米軍の指揮に当たったブッシュ大統領など、歴史のおさらいにもなるドキュメンタリー。
しかし、バイデン大統領になったら、トランプが発注した最新型の後継機はどうなるんだろう。
オススメ度B。