きょうの神宮球場、一番の見どころは4年ぶりにNPBに復帰し、初のマウンドに上がったヤクルトの先発投手・歳内宏明。
2011年にドラフト2位で阪神に入団するも、右肩を痛めて16年以降は一軍で登板できず、昨シーズンを最後に戦力外となった投手である。
阪神には真面目な性格を買われ、球団職員への転職を打診されたものの、真面目なだけに野球への思い断ちがたく、シーズンオフにはトライアウトや台湾ウインターリーグに挑戦。
昨年末には、独立リーグ、四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズに入団を決め、妻子を連れて香川に引っ越した。
阪神ではもっぱら中継ぎだったが、香川で迎えた今季は右肩の状態がよくなったこともあり、先発で9試合に起用されて3完封を含む5勝0敗、防御率0.42、76奪三振を記録。
この好成績に目を付けたヤクルトにオファーを受け、晴れてNPBに復帰することになったのです。
果たして、歳内が4年ぶりの復帰登板でどのような投球を見せるか。
大いに期待と興味を見守っていたところ、初回の立ち上がりは明らかに緊張していて、先頭の梶谷に真っ直ぐをセンター前へ弾き返され、ソトへの四球で1死一・二塁のピンチを招く。
しかし、ここで佐野が放ったヒット性の打球を、レフトの青木が果敢にダッシュして好捕し、二走・梶谷も併殺に仕留めるファインプレー。
これで歳内もホッとしたのか、四回まで毎回走者を出しながら無失点に抑える。
直後の四回裏には村上の先制ソロ本塁打も飛び出し、待望の援護点が入った。
これで五回までリードを保てればこの日は合格点だったのだが、3回り目のDeNA打線は無傷のままでマウンドから降ろしてはくれなかった。
1死を取ったあと、投手の上茶谷、戸柱にこの試合初めての2連打を浴び、梶谷のタイムリー、オースティンの犠牲フライでたちまち同点に追いつかれてしまう。
それでも、佐野を歩かせてなお2死満塁とされたピンチを、山田哲の好捕に救われて脱出し、5回84球を投げて8安打2失点。
勝ち投手の権利こそつかなかったけれど、今夜の復帰第1戦は十分合格点と言っていいでしょう。
試合は七回、ヤクルトの代打陣、荒木の同点タイムリーで追いつき、宮本が勝ち越し打を打って逆転勝ち。
これでヤクルトの連敗も6でようやくストップ。
「いまの最大限の力を出そうと思った」という歳内の粘投がきっかけとなって、チーム状態が少しでも上向いてくれればいいんですが。