野村克也さんが逝かれて4カ月半、球界でもマスコミでもファンの間でも、まだまだ稀代の名将を惜しむ声は尽きません。
そうした中、文藝春秋の発行するスポーツ総合雑誌の別冊、Sports Graphic Number PLUSで、改めて在りし日のノムさんを偲ぶムックが編まれました。
僕が取材、構成を担当したのは、野村さんが手塩にかけて育て上げた古田敦也さんの追憶インタビュー。
ID野球の申し子にして、野村ヤクルトのグラウンド上の司令塔だった古田さんに、野村さんの凄さ、厳しさ、与えられたものの大きさを存分に語って頂きました。
語り尽くして頂いた、とはあえて書きません。
古田さんと野村さんとの長く、熱く、濃密で、かつ極めて次元の高い師弟関係は、とても今回のインタビューで費やした時間や文字数で網羅できるようなものではないからです。
しかし、野村さんが他界されてからのち、古田さんがこれほど詳しく師への思いを語ったインタビュー記事は初めてではないでしょうか。
あの強かったヤクルトでの現役時代をオンタイムで見ていたファンはもちろん、記事や映像でしか知らないという若いファンにも、ぜひ御一読頂きたい。
そして、かつて球界を席巻した野村克也という名将、古田敦也という名捕手に、もう一度、もっと深く、興味を抱いてほしい。
そんな願いを込めて、この追憶インタビューを書きました。
なお、タイトルにもあるように、本書には過去にSports Graphic Number本誌に掲載された野村克也さんに関する記事、野村さん以外の名将と呼ばれた監督たちの記事も採録されています。
僕としては、このラインナップに感慨、因縁、郷愁を感じないではいられない。
Numberに数多くの〝ノムさん物〟を寄稿していたライターと言えば、何と言っても故・永谷脩さんを置いてほかにいない。
僕は生前の野村さんはもとより、永谷さんにも一方ならぬお世話になったから。
もうひとり、やはり故人となった阿部珠樹さんの記事もある。
斯界の大先輩たちの原稿が収められている本書に、野村さんの一番弟子・古田さんにインタビューした拙稿が掲載された。
そういう貴重な一冊に参加することができたという意味で、この仕事を僕に依頼してくれたNumber編集部、インタビューを受けて頂いた古田さんに、改めて感謝の意を表します。
なお、本書のラインナップはNumber Webでご覧頂けます。
ぜひ御一読ください。
よろしくお願いします。