高田川部屋の勝武士さんを悼む

今年1月の高田川部屋初場所千秋楽祝賀会兼新年会にて
三段目・勝武士(左)、幕下・湘南乃海と

私の暮らす東京都の発表によれば、きょう13日の新型コロナウイルスの新たな感染者数は10人にとどまった。
数字だけ見れば、自分も都民のひとりとして励行しているステイホームの成果かな、とも思えます。

しかし、その一方で、相撲界、及びプロスポーツ界全体を含めて、初めての新型コロナによる死者が出ました。
それが、1月にホテルニューオータニで開かれた高田川部屋の初場所千秋楽祝賀会兼新年会で会った力士・勝武士(しょうぶし、本名:末武清隆)さんと知って、言葉を失った。

しかも、28歳という若さは、新型コロナによる死亡例としては日本で最年少。
勝武士さんには糖尿病の既往症があったそうですが、それでも一般の成人男性と比べれば強靭な体力を持っているはずの力士が犠牲となったことには、改めて慄然とせざるを得ません。

報道によれば、勝武士さんが発熱などの初期症状を示したのは4月4〜5日。
高田川親方をはじめ関係者のみなさんが、すぐさま病院や保健所に何度も連絡を取ったにもかかわらず、最近の医療機関が逼迫している事情によるものか、4日後の同月8日まで受け入れ先が決まらなかったという。

もし、この初期段階において、もっと早く検査や治療を受けることができていたらどうだったか。
亡くなったいまになって言っても仕方のないことかもしれませんが、残された家族や親方、女将さん、部屋関係者の方々の心中は察するに余りあります。

謹んでご冥福をお祈りします。

最近、番付表とともに送られてきた〈高田川新聞〉
下段左に勝武士さんへの師匠からの講評がある
スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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