紛糾に紛糾を重ねた〝落合・清原移籍騒動〟は、またしてもこの人の一喝によって急速に収束へ向かった。
渡辺・読売新聞社社長(巨人オーナーに就任するのはこの年12月)が、「余計なおしゃべりが過ぎたな」と、一連の巨人批判発言に関して謝罪を求めたのだ。
こうなったら、とても巨人に居座ることはできない。
落合との直接会談に応じた長嶋監督も「来季はベンチや代打が多くなる」と説明して、ついに落合自ら退団せざるを得なかった。
落合退団のニュースが流れてから1時間後、落合獲得をぶち上げたのが、巨人と長嶋監督をライバル視するヤクルト・野村監督である。
なんと、球団納会の挨拶に立った壇上で、「桑原オーナーに落合を取ってくださいとお願いしました」と表明したのだ。
そこへ、「落合ならウチもほしい」と、日本ハム・上田監督も獲得に名乗りをあげる。
こうして、巨人を舞台とした〝落合・清原移籍騒動〟は、名将2人による〝野村vs上田・落合争奪戦〟へと様相を一変させた。
つくづく思うに、昔の球界人は本当に話題をつくるのがうまかった。
野球のプレーや采配ではもちろん、コメントも身の処し方も常にファンの注目の的であり続けた。(文中敬称略)
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