『デッドラインU.S.A』(セルDVD)😉

Deadline~U.S.A 87分 モノクロ 1954年 アメリカ=20世紀フォックス
日本配給:1984年 IP(インターナショナル・プロモーション)

すでに功成り名を遂げたハンフリー・ボガートが、亡くなる3年前に新聞社の編集長に扮した社会派ドラマ。
このころから頭角を現し、のちに巨匠となるリチャード・ブルックスが、自分のオリジナル脚本を監督している。

ボガート演じる新聞社〈ザ・デイ〉編集局長エド・ハッチンソンはジャーナリズム界きっての硬骨漢で、殺されたショウガールの死体写真を他紙がこぞって掲載する中、「そんなスキャンダラスなものを載せるな!」と毅然と言い放つ。
そんなハッチソンが取り組んでいる最大のネタは、暗黒街の顔役トーマス・リエンツィ(マーティン・ゲーベル)の悪事を徹底的に暴くことだった。

しかし、会社ではハッチンソンが慕っていた社主ジョン・ガリソンが亡くなり、娘や婿たちがライバル紙〈スタンダード〉へザ・デイを売却しようとしていた。
ハッチソンがガリソン未亡人(エセル・バリモア)とともに反対しても、目先の大金に目が眩んだ娘夫婦たちは聞く耳を持たない。

そうした最中、ザ・デイの敏腕記者バロウズ(ウォーレン・スティーヴンス)がリエンツィの子分たちに襲われ、重傷を負うという事件が起こる。
リエンツィはショウガール殺しの嫌疑をかけられており、この事件を追いかけていたバロウズの取材を暴力で阻止しようとしてきたのだ。

そんなリエンツィに敢然と立ち向かうザ・デイの報道姿勢に、ショウガールの恋人(ジョー・ド・サントス)や母親が協力を申し出て、ハッチンソンはついにリエンツィの尻尾を掴むことに成功。
身売り話も白紙に戻り、リエンツィの悪行を報じた紙面が印刷される中、輪転機の間に立つハッチソンの姿を別れた女房ノラ(キム・ハンター)が惚れ直したかのように見つめていた。

ブルックスの演出は後年のように変に重苦しくならず、ユーモアを交えたタッチで、健全な家庭劇のようにまとめている。
エンディングで輪転機が回る音が気分を盛り上げる手法は、最近の『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』(2018年)でスピルバーグも使っていた。

オススメ度B。

DVD10枚組 発行:株式会社コスミック出版 発売:2019年9月9日 定価1800円=税別

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2020リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら😏  D=ヒマだったら😑
※ビデオソフト無し

15『海にかかる霧』(2014年/韓)A※
14『スノーピアサー』(2013年/韓、米、仏)A
13『前科者』(1939年/米)C
12『化石の森』(1936年/米)B
11『炎の人ゴッホ』(1956年/米)B※
10『チャンピオン』(1951年/米)B
9『白熱』(1949年/米)A
8『犯罪王リコ』(1930年/米)B
7『ユリシーズ 』(1954年/伊)C
6『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017年/泰)B
5『七つの会議』(2019年/東宝)A
4『キャプテン・マーベル』(2019年/米)B
3『奥さまは魔女』(2005年/米)C
2『フロントランナー』(2018年/米)B
1『運び屋』(2018年/米)A

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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