主役のジョージ・ラフトはジェームズ・キャグニー、エドワード・G・ロビンソンと同時代に人気を博したギャング映画のスター。
身長170㎝、短躯、大顔、ベルトを締めるのはヘソの上と、当時ダンディーとされていた?スタイルも同じだ。
ただし、ラフトの場合はバグジー・シーゲル、マイヤー・ランスキー、オウニー・マドゥンといった実在のギャングたちと幼馴染みで、ラフト自身もギャングではないかと噂されていた。
ラフトは人気全盛だったころに『ハイ・シエラ』『マルタの鷹』(ともに1941年)のオファーを蹴り、主役がいずれもハンフリー・ボガートに回され、ブレークするきっかけになった。
本作は、そのボガートがまだギャング映画の悪役専門俳優だったころ、ラフトと初めて共演した作品。
主役のラフトはクリフ・テイラー、脇役のボガートはチャック・マーティンというギャングの兄弟分に扮し、ふたりがシンシン刑務所で出所を待っているところからお話が始まる。
仮釈放となったクリフは母(フローラ・ロブソン)、弟ティム(ウィリアム・ホールデン)のために真面目に働こうとするが、最初に就職した会社では、仮釈中は運転免許を取得できないからとあっさりクビ。
次の勤め先でも前科者だからとイジメにあって解雇され、やっとありついたデパートの配送係として実績を挙げ、着々と社会復帰を果たす。
一方、自動車修理工場を持ちたいという夢を持つ弟ティムは、なかなかその資金を稼げず、恋人ペギー(ジェーン・ブライアン)と結婚する見通しも立たない。テイラー一家はいまで言うホワイトプア、トラッシュホワイトで、クリフはティムが自棄を起こして犯罪に走らなければいいがと気を揉んでいた。
そうした最中、前科者に対する偏見から、クリフが窃盗を働いたのではないかと疑われ、警察に逮捕されてしまう。
兄思いのティムは保釈金集めに奔走するが、このとき、上司と諍いになって暴力を振るい、今度は弟までクビ。
結局、クリフは誤認逮捕が明らかになって釈放されたものの、もはやまっとうに働いていては無職となった弟の夢を叶えることはできない。
そこでクリフはギャングに戻っていたチャックを頼り、また昔のように強盗で金を稼ごうと決意する。
なかなかよくできたシナリオなのだが、ここから先は結末が予想でき、クリフとチャックがギャングの内輪揉めによって命を落とす、という展開もあまりに定石的で印象に残らない。
兄貴が身体を張って稼いでくれた金でティムが自分の工場を持ち、めでたく結婚したペギーと大喜び、というエンディングも違和感あり過ぎ。
オススメ度C。
ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2020リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら😏 D=ヒマだったら😑
※ビデオソフト無し
12『化石の森』(1936年/米)B
11『炎の人ゴッホ』(1956年/米)B※
10『チャンピオン』(1951年/米)B※
9『白熱』(1949年/米)A
8『犯罪王リコ』(1930年/米)B
7『ユリシーズ 』(1954年/伊)C
6『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017年/泰)B
5『七つの会議』(2019年/東宝)A
4『キャプテン・マーベル』(2019年/米)B
3『奥さまは魔女』(2005年/米)C
2『フロントランナー』(2018年/米)B
1『運び屋』(2018年/米)A