『運び屋』(WOWOW)🤗

The Mule 115分 2018年 アメリカ=ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ

クリント・イーストウッド御大が88歳にして主演・監督・製作の1人3役を務めたクライム・サスペンス。
原作はニューヨーク・タイムズに掲載されたサム・ドルニックのルポルタージュで、メキシコの麻薬密輸組織シナロア・カルテルの運搬役をしていた老人の実話である。

イーストウッド演じる主人公アール・ストーンはかつてデイリリーの栽培で名声を築いた園芸家だったが、仕事に熱中し過ぎて家庭を省みず、妻子に愛想を尽かされて孤独な晩年を送っている。
最近ではインターネットの販売網に押されて注文が途絶え、自慢の農場も自宅も借金のカタに差し押さえられていた。

仕方なく久しぶりに家に帰ってみたら、快く迎え入れてくれたのは結婚を控えた孫娘ジニー(タイッサ・ファーミガ)だけ。
妻メアリー(ダイアン・ウィースト)にも娘(アリソン・イーストウッド=実の娘)にも冷たく撥ねつけられ、家から追い出されてしまう。

そんなアールが、せめて孫娘の結婚式には費用を出し、花も贈って出席したいと、たまたま知り合った若者の手引きで始めたのがコカインの運び屋だった。
最初のうちは荷物の中身も知らず、ただ言われるままにイリノイからシカゴまで麻薬を運んでいただけだったが、思わぬ大金がキャッシュで手に入って仰天。

念願叶って孫娘の結婚式に胸を張って出席、農場と自宅も買い戻してデイリリーの栽培も再開。
そのうち、在郷軍人会の戦友に頼まれて地元のダイナーのリニューアルにまで手を出し、だんだん金遣いが派手になって、気がついたら麻薬組織から抜け出そうにも抜け出せなくなっていた。

自分自身が犯罪に手を染めていながら、麻薬組織の若者フリオ(イグナシオ・セリッチオ)に、「こんなヤクザな商売からはさっさと足を洗え」と説教する姿は、イーストウッドだからサマになる。
DEA(麻薬取締局)捜査官コリン・ベイツ(ブラッドリー・クーパー)と心を通わせ合うくだりも味わい深い。

実話の映画化なので、最後は収まるところに収まる感が強いが、それでも観ているうちに目頭が熱くなった。
おれもいよいよトシかなあ。

オススメ度A。

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A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら😏  D=ヒマだったら😑
※ビデオソフト無し

1『運び屋』(2018年/米)A

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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