「こうなったら、白鵬の張り手、かち上げを規則で禁じ手にするしかないんじゃないか」
好角家のタレントや文化人の間からはとうとうそんな声も上がり始めた。
今年最後の本場所、九州場所で43回目の優勝を果たした大横綱・白鵬の立ち合いについて、「あまりにも乱暴」「また悪い癖が出た」「しかも以前よりひどい」と非難が集中しているのだ。
そんな白鵬の張り手、かち上げについて、「年齢による力の衰えをカバーし、なりふり構わず勝ちにいくための手段」と指摘する声をよく聞く。
確かに、そんな苦し紛れの一面があることは否定できない。
が、もっと若かったころの白鵬を取材した私は、あの取り口の背景には別の要因があると考えている。
それは、一口に言えば白鵬独自の相撲観だ。
横審、親方衆、日本の大勢のファンには「見苦しい」「美しくない」と映る張り手、かち上げも、白鵬にとっては勝つためには当然の手段なのである。
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