デラックスな病室

某医大中央棟20階エレベーターホールからの眺め

金曜の夜、しばらくご無沙汰しているお医者さんの先生にLINEで連絡を取ったら、実はいま入院しているという。
取り立てて深刻な状態ではなく、土曜の午後に内視鏡手術を受け、術後に問題がなければ日曜の夕方には退院できる見込み。

「じゃあ退院したら食事でもしましょう」と返して済ませるのも素っ気ないので、退院前にお見舞いに行くことにしました。
そうしたら、先生がかつて勤務していた医大病棟の20階にいるという返事。

まだまだ残暑の続く中、汗を拭き拭き行ってみたら、これが何ともデラックスな病室!
約20平米のスペースにセミダブルサイズのベッド、壁には43インチの液晶テレビがかかっていて、Wi-Fi完備でスマホもパソコンも使い放題。

この病室、「特別個室」と名付けられていて、A、B、Cと3つのランクに分けられている。
お金持ちの患者さんには大変な人気らしく、いま空いているのは1室だけ、と看護師さんが言っていました。

20階のエレベーターホールから病室へ通じるドアを開けるには、受付で入館証を借りることが必要。
Aランクの部屋には地下駐車場から誰にも会わずに直通で行ける専用エレベーターまで完備されている!

当然、料金も安くはなく、Cランクで1泊ウン万ウン千円。
ちなみに、Aランクは1泊十数万円で、いろんなオプションを付けたら、税込で20万円に達する。

この部屋には一時、プロ野球ファンなら誰でも知っている球界の重鎮も泊まっていたそうです。
思わず「こんな豪華な部屋に泊まれる人はいいですねえ」と言ったら、先生は苦笑しながら「いくらいい部屋に入れてもらっても、病気じゃなあ。おれだって早く出たいよ」。

そりゃそうだよな。
人間、いくつになっても健康が一番、という一席でした。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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