『ヴェノム』(WOWOW)

Venom
112分 2018年 アメリカ=ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント

サンフランシスコにウルトラ警備隊の基地みたいな研究所を構えるライフ財団は表向き、医療、社会福祉、宇宙開発と、人類のためと称して様々な事業を手がけている。
しかし、その実、CEOのカールトン・ドレイク(リズ・アーメッド)は、ホームレスを拉致して人体実験に利用している悪魔のような男だった。

ドレイクは惑星探査ロケットを使って地球外生命体の寄生生物シンビオートを捕獲し、これをホームレスに寄生させ、宇宙空間でも生存可能な肉体の開発に乗り出す。
財団の科学者ドーラ・スカース博士(ジェニー・スレイト)はこの恐ろしい計画を阻止するべく、ライフ財団を批判してテレビ局をクビになった記者エディ・ブロック(トム・ハーディ)に接触。

ブロックはスカース博士の手引きで財団の研究所に侵入するが、自分がシンビオートに寄生された上、軍隊のような警備員たちに追われる羽目になる。
この最中、ブロックに寄生したヴェノムが正体を現し、追っ手を次々に撃退して見せる、というのが前半最大の見せ場。

ブロックが徐々に自分の異変に気づく過程は、ニール・ブロムカンプの傑作SF映画『第9地区』(2009年)によく似ている。
『第9地区』では難民エイリアンの容姿がエビそっくりで、地球人が差別的意味合いを込めて「エビ」と呼んでいたが、本作でブロックがシーフード・レストランの水槽に飛び込んでエビにかぶりつくのは、ひょっとしたらオマージュのひとつなのか。

また、ブロックの体内に潜んだヴェノムがブロックに話しかけてくるあたりは、岩明均の傑作漫画『寄生獣』(1990〜95年)を思い出させないではおかない。
ヴェノムの好敵手ライオットがドレイクに寄生し、ヴェノムと対決するクライマックスでライオットの両手が巨大なカマになるところは、明らかに『寄生獣』のパクリだろう。

また、ふだんは人間の体内に潜んでいるヴェノムやライオットが変身する直前、ブロックやドレイクの目がギョロギョロ動く描写も、『寄生獣』の実写映画化作品(2015年)そっくり。
このあたりはすでに、ジェームズ・キャメロンが『ターミネーター2』(1991年)で真似しているので、この『ヴェノム』が模倣第1号ではないのだが。

面白いことは面白い。
ウディ・ハレルソンが出てきたエンドクレジットの続編予告にも興味を惹かれたので、公開されたら映画館へ観に行こうかな。

オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)
※ビデオソフト無し

79『ミッション:インポッシブル フォールアウト』(2018年/米)B
78『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』(2015年/米)A
77『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』(2011年/米)C
76『M:i:Ⅲ』(2006年/米)B
75『M:i-2』(2000年/米)C
74『ミッション:インポッシブル』(1996年/米)C
73『ダンテズ・ピーク』(1996年/米)C
72『スーパーマン4 最強の敵』(1987年/米)D
71『スーパーマンⅢ 電子の要塞』(1983年/米)C
70『スーパーマンⅡ リチャード・ドナーCUT版』(2006年/米)B
69『スーパーマンⅡ 冒険篇』(1980年/米)A
68『スーパーマン ディレクターズ・カット版』(1978年/米)A
68『MEG ザ・モンスター』(2018年/米)C
67『search/サーチ』(2018年/米)A
66『検察側の罪人』(2017年/東宝)D
65『モリのいる場所』(2018年/日活)B
64『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(2017年/米)B
63『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年/韓)A
62『ゲティ家の身代金』(2017年/米)B
61『ブルーサンダー 』(1983年/米)A
60『大脱獄』(1970年/米)C
59『七人の特命隊』(1968年/伊)B
58『ポランスキーの欲望の館』(1972年/伊、仏、西独)B
57『ロマン・ポランスキー 初めての告白』(2012年/英、伊、独)B
56『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年/米)A
55『ウインド・リバー』(2017年/米)A
54『アメリカの友人』(1977年/西独、仏)A
53『ナッシュビル』(1976年/米)A
52『ゴッホ 最後の手紙』(2017年/波、英、米)A
51『ボビー・フィッシャーを探して』(1993年/米)B
50『愛の嵐』(1975年/伊)B
49『テナント 恐怖を借りた男』(1976年/仏)B
48『友罪』(2018年/ギャガ)D
47『空飛ぶタイヤ』(2018年/松竹)B
46『十一人の侍』(1967年/東映)A
45『十七人の忍者 大血戦』(1966年/東映)C※
44『十七人の忍者』(1963年/東映)C
43『ラプラスの魔女』(2016年/東宝)C
42『真夏の方程式』(2013年/東宝)A
41『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018年/米)B
40『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年/米)B
39『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年/米)C
38『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(2017年/米)D
37『デッドプール2』(2018年/米)C
36『スキャナーズ3』(1991年/加)C
35『スキャナーズ2』(1991年/米、加、日)C
34『スキャナーズ』(1981年/加)B
33『エマニエル夫人』(1974年/仏)C
32『死刑台のエレベーター』(1958年/仏)B
31『マッケンナの黄金』(1969年/米)C
30『勇気ある追跡』(1969年/米)C
29『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年/米)A
28『ドクトル・ジバゴ 』(1965年/米、伊)A
27『デトロイト』(2017年/米)B
26『クラッシュ』(2004年/米)A
25『ラ・ラ・ランド』(2016年/米)A
24『オーシャンズ13』(2007年/米)B
23『オーシャンズ12』(2004年/米)C
22『オーシャンズ11』(2001年/米)B
21『オーシャンと十一人の仲間』(1960年/米)B
20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2012年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12『ホテル』(1977年/伊、西独)C※
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B※

1『大殺陣』(1964年/東映京都)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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