『スーパーマンⅢ 電子の要塞』(WOWOW)

SupermanⅢ
123分 1983年 アメリカ=ワーナー・ブラザース

これもWOWOWの〈スーパーマン特集〉で放送されたシリーズ第3作。
劇場公開当時は未見のままスルーし、地上波テレビで放送された吹替版のほうを学生時代に四畳半一間のアパートに置いてあった白黒テレビで観た。

本作の実質的な主役はスーパーマンのクリストファー・リーヴではなく、天才ハッカーのガス・ゴーマンを演じるリチャード・プライヤー。
プライヤーはエディ・マーフィが出てくる前の黒人ナンバーワン・コメディアンで、彼がアメリカのテレビ番組で「オレもスーパーマンに出たいなあ」と発言し、それならばとプロデューサーのイリヤ・サルキンドが早速オファーを出したのだという。

サルキンドがプライヤーのキャラクターを前面に打ち出そうとしたため、本作は前2作とはまったくテイストの異なるセルフ・パロディのような代物となってしまった。
開巻、宇宙空間ではなくメトロポリス(ニューヨーク)の街頭にクレジットが流れるオープニングから、これまでのスーパーマンとは全然違う。

職業安定所に現れたプライヤー演じるゴーマンは36週連続失業中で、クビになった最短記録は28分という人物。
アメリカではこういうキャラクターで笑いを取れたのかもしれないが、日本の観客はドン引きしたに違いない。

ちょっと面白いのは、スーパーマンが善と悪のふたつの人格に分裂し、リーヴが1人2役で戦うというアイデア。
悪のスーパーマンがSマークのついたコスチュームのまま、無精髭を生やし、昼間から飲んだくれている場面では、リーヴがなかなか巧みな演技を見せている。

しかし、肝心のスーパーマン同士の対決の舞台が廃車処理場で、スクラップの山の中でくんずほぐれつ、というのはいただけない。
本作でリーヴ版スーパーマンは死んだも同然だったが、リーヴはさらにこのあと、自分で自分にトドメを刺すようなシリーズ第4作に出演している。

オススメ度C。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)
※ビデオソフト無し

70『スーパーマンⅡ リチャード・ドナーCUT版』(2006年/米)B
69『スーパーマンⅡ 冒険篇』(1980年/米)A
68『スーパーマン ディレクターズ・カット版』(1978年/米)A
68『MEG ザ・モンスター』(2018年/米)C
67『search/サーチ』(2018年/米)A
66『検察側の罪人』(2017年/東宝)D
65『モリのいる場所』(2018年/日活)B
64『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(2017年/米)B
63『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年/韓)A
62『ゲティ家の身代金』(2017年/米)B
61『ブルーサンダー 』(1983年/米)A
60『大脱獄』(1970年/米)C
59『七人の特命隊』(1968年/伊)B
58『ポランスキーの欲望の館』(1972年/伊、仏、西独)B
57『ロマン・ポランスキー 初めての告白』(2012年/英、伊、独)B
56『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年/米)A
55『ウインド・リバー』(2017年/米)A
54『アメリカの友人』(1977年/西独、仏)A
53『ナッシュビル』(1976年/米)A
52『ゴッホ 最後の手紙』(2017年/波、英、米)A
51『ボビー・フィッシャーを探して』(1993年/米)B
50『愛の嵐』(1975年/伊)B
49『テナント 恐怖を借りた男』(1976年/仏)B
48『友罪』(2018年/ギャガ)D
47『空飛ぶタイヤ』(2018年/松竹)B
46『十一人の侍』(1967年/東映)A
45『十七人の忍者 大血戦』(1966年/東映)C※
44『十七人の忍者』(1963年/東映)C
43『ラプラスの魔女』(2016年/東宝)C
42『真夏の方程式』(2013年/東宝)A
41『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018年/米)B
40『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年/米)B
39『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年/米)C
38『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(2017年/米)D
37『デッドプール2』(2018年/米)C
36『スキャナーズ3』(1991年/加)C
35『スキャナーズ2』(1991年/米、加、日)C
34『スキャナーズ』(1981年/加)B
33『エマニエル夫人』(1974年/仏)C
32『死刑台のエレベーター』(1958年/仏)B
31『マッケンナの黄金』(1969年/米)C
30『勇気ある追跡』(1969年/米)C
29『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年/米)A
28『ドクトル・ジバゴ 』(1965年/米、伊)A
27『デトロイト』(2017年/米)B
26『クラッシュ』(2004年/米)A
25『ラ・ラ・ランド』(2016年/米)A
24『オーシャンズ13』(2007年/米)B
23『オーシャンズ12』(2004年/米)C
22『オーシャンズ11』(2001年/米)B
21『オーシャンと十一人の仲間』(1960年/米)B
20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2012年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12『ホテル』(1977年/伊、西独)C※
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B※

1『大殺陣』(1964年/東映京都)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
先頭に戻る