『スーパーマンⅡ 冒険篇』(WOWOW)

Superman II
127分 1980年 アメリカ=ワーナー・ブラザース 日本公開1981年

前項と同じく今年5月のWOWOW特集で放送されたシリーズ2本目。
主演のクリストファー・リーヴ自身がシリーズで最も気に入っている作品だそうで、これには同意するファンも多いことだろう(私もそうです)。

オープニングでテロリストがパリのエッフェル塔に水爆を仕掛けて立てこもる、という事件が発生。
アメリカから飛んできたスーパーマン(リーヴ)があっという間にテロリストをやっつけると、水爆を抱えて大気圏を突き抜け、宇宙空間で爆発させる。

ところが、この衝撃と爆風により、第1作の冒頭でクリスタル・ガラスのファントム・ゾーンに閉じ込められていたクリプトンの悪人たち、ゾッド将軍(テレンス・スタンプ)、アーサ(サラ・ダグラス)、ノン(ジャック・オハローラン)が脱出。
手始めに月でアポロの着陸船を破壊すると、次に人類を征服しようと地球にやってくる。

本作はもともと前作(前編)の後編として作られており、監督も引き続きリチャード・ドナーが務める予定だった。
そのため、前作の製作中から後編の場面も随時撮影が進められていた、とリーヴの自伝にも書いてある。

しかし、ドナーとプロデューサーのアレクサンダー&イリヤ・サルキンド親子、ピエール・スペングラーが予算超過と作品の方向性をめぐって激しく対立。
すでに半分以上のシーンを撮り終えていたにもかかわらず、ドナーが途中で降板してしまった。

そのため、契約上の問題からスーパーマンの父ジョー・エル役、マーロン・ブランドの登場場面が使えなくなるなど、様々な事情からドナー版の脚本にも変更を加えざるを得なくなった。
冒頭のエッフェル塔のくだりも、後任としてメガホンを取ったリチャード・レスターが新たに撮影したものだという。

その後、ゾッド将軍たちが地球で暴れ回り、レックス・ルーサー(ジーン・ハックマン)がゾッド将軍に取り入るあたりはドナーが撮影している。
北極にあるスーパーマンのクリスタル・ハウスで最後の対決が行われるクライマックスもドナーが大半のシーンを撮っており、レスターによっていくつかの場面が追加撮影されたようだ。

しかし、ロイスが初めてスーパーマンの正体に気がつく場面は、本来のシナリオから大幅な変更が加えられた。
エンディングの間際、クラーク・ケントがロイスにキスして記憶を〝消去〟する場面も、最初のシナリオにはなかったもの。

また、この場面ではロイスがヘビースモーカーであることが強調され、吸殻が山盛りになった灰皿が映るが、これもドナーのキャラクター設定とは違うらしい。
リーヴはドナーとレスターのいいところがうまく融合した作品だと自伝で語っているが、ドナーは大いに不満だったようで、本作から26年後に〝オリジナル版〟の再編集に乗り出すことになる。

オススメ度A。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)
※ビデオソフト無し

68『スーパーマン ディレクターズ・カット版』(1978年/米)A
68『MEG ザ・モンスター』(2018年/米)C
67『search/サーチ』(2018年/米)A
66『検察側の罪人』(2017年/東宝)D
65『モリのいる場所』(2018年/日活)B
64『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(2017年/米)B
63『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年/韓)A
62『ゲティ家の身代金』(2017年/米)B
61『ブルーサンダー 』(1983年/米)A
60『大脱獄』(1970年/米)C
59『七人の特命隊』(1968年/伊)B
58『ポランスキーの欲望の館』(1972年/伊、仏、西独)B
57『ロマン・ポランスキー 初めての告白』(2012年/英、伊、独)B
56『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年/米)A
55『ウインド・リバー』(2017年/米)A
54『アメリカの友人』(1977年/西独、仏)A
53『ナッシュビル』(1976年/米)A
52『ゴッホ 最後の手紙』(2017年/波、英、米)A
51『ボビー・フィッシャーを探して』(1993年/米)B
50『愛の嵐』(1975年/伊)B
49『テナント 恐怖を借りた男』(1976年/仏)B
48『友罪』(2018年/ギャガ)D
47『空飛ぶタイヤ』(2018年/松竹)B
46『十一人の侍』(1967年/東映)A
45『十七人の忍者 大血戦』(1966年/東映)C※
44『十七人の忍者』(1963年/東映)C
43『ラプラスの魔女』(2016年/東宝)C
42『真夏の方程式』(2013年/東宝)A
41『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018年/米)B
40『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年/米)B
39『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年/米)C
38『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(2017年/米)D
37『デッドプール2』(2018年/米)C
36『スキャナーズ3』(1991年/加)C
35『スキャナーズ2』(1991年/米、加、日)C
34『スキャナーズ』(1981年/加)B
33『エマニエル夫人』(1974年/仏)C
32『死刑台のエレベーター』(1958年/仏)B
31『マッケンナの黄金』(1969年/米)C
30『勇気ある追跡』(1969年/米)C
29『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年/米)A
28『ドクトル・ジバゴ 』(1965年/米、伊)A
27『デトロイト』(2017年/米)B
26『クラッシュ』(2004年/米)A
25『ラ・ラ・ランド』(2016年/米)A
24『オーシャンズ13』(2007年/米)B
23『オーシャンズ12』(2004年/米)C
22『オーシャンズ11』(2001年/米)B
21『オーシャンと十一人の仲間』(1960年/米)B
20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2012年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12『ホテル』(1977年/伊、西独)C※
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B※

1『大殺陣』(1964年/東映京都)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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