『ポランスキーの欲望の館』(WOWOW)

(Che?,What?/115分 1972年 イタリア、フランス、西ドイツ
日本劇場未公開 ビデオソフト=VHS化:1987年)

ヒロインのシドニー・ロームは、アメリカのカリフォルニア州出身なのに、なぜかフランスやイタリアでブレークし、日本でもファンの多かった女優である。
出演作品はそれほど多くはないが、雑誌〈スクリーン〉や〈ロードショー〉に掲載されたヌードグラビアでお世話になった、という私と同世代の映画小僧は多いはず。

映画を見ればわかる通り、今時のナイスバディではないものの、エロっぽさとロリっぽさが程よく同居していて、脱ぎっぷりもイイ。
まあ、要するに、いかにも日本人とポランスキー好みのタイプだったわけです。

本作出演当時のロームはまだ20歳で、ナンシーというアメリカの女子大生役。
イタリアでひとり旅をしている最中、ヒッチハイクで車に乗せてもらった若い男3人にレイプされそうになり、ロープウェイのゴンドラに乗って怪しげな洋館に逃げ込むと、そこは奇人変人の巣窟だった。

ここでロームにちょっかいを出すのが、SM趣味のあるコスプレイヤーのアレックス(マルチェロ・マストロヤンニ)。
虎の毛皮を被ってロームに鞭打ってもらったり、警官の制服を着てロームをひっぱたいたりして悦に入っている。

監督のポランスキー自身、当時すでに大御所だった名優ヒュー・グリフィスも登場し、館の中でロームを追い掛け回す。
映画の終盤に入ると、序盤と同じ場面や同じ状況が繰り返されるようになり、この館では時間が前に進まずグルグルと循環していて、同じ日常が延々と繰り返されていることが判明する。

このアイデアにポランスキーらしい才気が感じられるが、全体的には時間潰しのためのエロティック・コメディといった域を出ていない。
舞台となった洋館は製作者カルロ・ポンティの所有する別荘だったそうで、随分安上がりに作っている感もある。

それでも、この映画のロームはとても可愛い。
前半はデニムのパンタロンに食事用のエプロン、後半は全裸の上に男性用パジャマの上着だけで歩き回り、最後はとうとう全裸になって豚を運んでいるトラックに乗って洋館から脱出。

ただ、裸になっても赤くて分厚い日記だけは絶対に手離さない。
このおバカな女子大生っぽいキャラクター設定がとにかく秀逸。

オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)
※ビデオソフト無し

57『ロマン・ポランスキー 初めての告白』(2012年/英、伊、独)B
56『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年/米)A
55『ウインド・リバー』(2017年/米)A
54『アメリカの友人』(1977年/西独、仏)A
53『ナッシュビル』(1976年/米)A
52『ゴッホ 最後の手紙』(2017年/波、英、米)A
51『ボビー・フィッシャーを探して』(1993年/米)B
50『愛の嵐』(1975年/伊)B
49『テナント 恐怖を借りた男』(1976年/仏)B
48『友罪』(2018年/ギャガ)D
47『空飛ぶタイヤ』(2018年/松竹)B
46『十一人の侍』(1967年/東映)A
45『十七人の忍者 大血戦』(1966年/東映)C※
44『十七人の忍者』(1963年/東映)C
43『ラプラスの魔女』(2016年/東宝)C
42『真夏の方程式』(2013年/東宝)A
41『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018年/米)B
40『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年/米)B
39『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年/米)C
38『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(2017年/米)D
37『デッドプール2』(2018年/米)C
36『スキャナーズ3』(1991年/加)C
35『スキャナーズ2』(1991年/米、加、日)C
34『スキャナーズ』(1981年/加)B
33『エマニエル夫人』(1974年/仏)C
32『死刑台のエレベーター』(1958年/仏)B
31『マッケンナの黄金』(1969年/米)C
30『勇気ある追跡』(1969年/米)C
29『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年/米)A
28『ドクトル・ジバゴ 』(1965年/米、伊)A
27『デトロイト』(2017年/米)B
26『クラッシュ』(2004年/米)A
25『ラ・ラ・ランド』(2016年/米)A
24『オーシャンズ13』(2007年/米)B
23『オーシャンズ12』(2004年/米)C
22『オーシャンズ11』(2001年/米)B
21『オーシャンと十一人の仲間』(1960年/米)B
20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2912年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12『ホテル』(1977年/伊、西独)C※
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B※

1『大殺陣』(1964年/東映京都)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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