小川ヤクルト、〝飛車角金銀落ち打線〟で原名人に勝つ

〝1打席始球式〟に登場した元巨人・川相昌弘氏(中)、元ヤクルト・川崎憲次郎氏(右)

きょうは東京ドームでの巨人−ヤクルト戦の試合前、元巨人・川相氏、元ヤクルト・川崎氏による〝1打席始球式〟なるものが行われた。
初球は川崎氏の暴投に川相氏がしゃがみ込み、2球目は川崎氏のストライクに川相氏が豪快な空振り、最後は川相氏が一塁線にバントして川相氏の〝勝ち〟。

私としては、川相氏がMCやチームヴィーナスの女の子に「バントの神様」と紹介されていたのが感慨深い。
これは私が2002年に上梓した処女作(『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』講談社)のタイトルで、川相氏にこの異名(というより尊称か)を付けたのも拙著が最初だったから。

さて、試合は3−1でヤクルトが競り勝ち、このカード1勝2敗と勝ち越し。
しかも、ラインナップから青木、山田哲を欠き、西浦も試合途中で退場、19歳の村上を4番に据えざるを得ない陣容で首位の巨人を食って見せた。

開幕直後に坂口が左手親指の複雑骨折で離脱し、バレンティンも上半身のコンディション不良で登録抹消されている。
この日のオーダーを将棋に例えれば、さしずめ〝飛車角金銀落ち打線〟か。

こういう打線で優勝、日本一の回数とも現役監督で最多を誇る巨人の〝原名人〟に勝っちゃうんだから、野球は何が起こるかわかりませんね。
巨人サイドから見ると、原監督が名人らしからぬ〝ヘボ将棋〟を指してしまった、ということになるか。

なお、ヤクルトのチーム関係者に取材したところによると、青木は頭部死球の後遺症があり、気圧の影響を受けやすい東京ドームだったので出場を見合わせた、とのこと。
山田哲は脇腹を痛めている可能性があり、フルスイングができるようになるまでは代打出場も難しそう。

一方、バレンティンは早ければ火曜からの広島戦で復帰するかもしれません。
坂口も二軍戦で打席に立てるところまでは復調しているそうです。

それにしても今年の試合は長い。
もっと早く終わってほしい。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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