前項『Twitter社会論』(2009年/津田大介著、洋泉社)から2年後の2011年、とり・みきが出した漫画によるツイッター論。
ツイッターにおける体験談を読者から募集し、それを徳間書店の漫画誌〈リュウコミックス〉の連載で紹介、独自の分析、検証を加えているもの。
これは古書ではなく出版時に新品を購入したのだが、旧サイトにレビューを書きそびれたままほったらかしにしていた。
理由は本書の7本目の挿話にあるように、東日本大震災が起こったばかりで、私自身が当時のツイートの波や渦に飲み込まれてしまったからである。
当時は被災地の取材に行き、現地での様子をツイートしたこともあり、フォロワーの数が一晩に数百単位で急増した。
プロ野球の開幕延期問題について、「これ以上遅らせるべきではない」とあえて主張したことで、初めての「炎上」も経験している。
とり・みきが本書の96〜97ページに見開きで描いている絵を見ると、否応なしにあの悪夢のような記憶を思い起こさせられる。
ただし、とり・みき自身は当時の庶民感情に配慮したのか、以降は震災とツイッターの関係について言及することを避け、2週間後には漫画誌自体が休刊となってしまった。
いずれはとり・みきならではの論考を本で読んでみたい。
それとも、ツイッターではもうつぶやいているのかな。
2019読書目録
8『Twitter社会論 新たなリアルタイム・ウェブの潮流』(2009年/洋泉社)7『極夜行』角幡唯介(2018年/文藝春秋)
6『力がなければ頭を使え 広商野球74の法則』迫田穆成、田尻賢誉著(2018年/ベースボール・マガジン社
5『OPEN アンドレ・アガシの自叙伝』アンドレ・アガシ著、川口由紀子訳(2012年/ベースボール・マガジン社)
4『桜の園・三人姉妹』アントン・チェーホフ著、神西清訳(初出1900年〜/新潮文庫)
3『かもめ・ワーニャ伯父さん』アントン・チェーホフ著、神西清訳(初出1895年~/新潮文庫)
2『恋しくて』村上春樹編訳(2016年/中公文庫)
1『月曜日は最悪だとみんなは言うけれど』村上春樹編訳(2006年/中央公論新社)