『toritter とりったー』とり・みき

(徳間書店 リュウコミックス 初版 2011年8月15日 定価648円=税別/古書)

前項『Twitter社会論』(2009年/津田大介著、洋泉社)から2年後の2011年、とり・みきが出した漫画によるツイッター論。
ツイッターにおける体験談を読者から募集し、それを徳間書店の漫画誌〈リュウコミックス〉の連載で紹介、独自の分析、検証を加えているもの。

これは古書ではなく出版時に新品を購入したのだが、旧サイトにレビューを書きそびれたままほったらかしにしていた。
理由は本書の7本目の挿話にあるように、東日本大震災が起こったばかりで、私自身が当時のツイートの波や渦に飲み込まれてしまったからである。

当時は被災地の取材に行き、現地での様子をツイートしたこともあり、フォロワーの数が一晩に数百単位で急増した。
プロ野球の開幕延期問題について、「これ以上遅らせるべきではない」とあえて主張したことで、初めての「炎上」も経験している。

とり・みきが本書の96〜97ページに見開きで描いている絵を見ると、否応なしにあの悪夢のような記憶を思い起こさせられる。
ただし、とり・みき自身は当時の庶民感情に配慮したのか、以降は震災とツイッターの関係について言及することを避け、2週間後には漫画誌自体が休刊となってしまった。

いずれはとり・みきならではの論考を本で読んでみたい。
それとも、ツイッターではもうつぶやいているのかな。

2019読書目録

8『Twitter社会論 新たなリアルタイム・ウェブの潮流』(2009年/洋泉社)7『極夜行』角幡唯介(2018年/文藝春秋)
6『力がなければ頭を使え 広商野球74の法則』迫田穆成、田尻賢誉著(2018年/ベースボール・マガジン社
5『OPEN アンドレ・アガシの自叙伝』アンドレ・アガシ著、川口由紀子訳(2012年/ベースボール・マガジン社)
4『桜の園・三人姉妹』アントン・チェーホフ著、神西清訳(初出1900年〜/新潮文庫)
3『かもめ・ワーニャ伯父さん』アントン・チェーホフ著、神西清訳(初出1895年~/新潮文庫)
2『恋しくて』村上春樹編訳(2016年/中公文庫)
1『月曜日は最悪だとみんなは言うけれど』村上春樹編訳(2006年/中央公論新社)


スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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