前項『オーシャンズ11』(2001年)の続編で、最初から最後までちゃんと観たのは今回が初めて。
前作でダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)に大金を奪われたテリー・ベネディクト(アンディ・ガルシア)が、身を隠していたメンバーにお礼参りに訪れ、「おれから奪った金に利子をつけて返せ」と迫る。
ベネディクトの被害額は保険で補償されているのだが、実はマフィアの大立者でもあるこの男に金を返さなかったら殺し屋に命を狙われる。
そこでオーシャンたちはアムステルダムに飛び、金庫破りや財宝の強奪を試みるが、そのたびにフランス人の大泥棒ナイト・フォックス(ヴァンサン・カッセル)に獲物を攫われてしまう。
フォックスはかねてからオーシャンを敵視しており、オーシャンたちの居所をベネディクトにチクってヨーロッパへおびき寄せ、泥棒同士の勝負を挑んできたのだ。
このライバル関係を軸にストーリーが展開するのだが、背後や脇道の人間模様がゴチャゴチャしていて、いささかわかりにくいのが難。
ライナス・コールドウェル(マット・デイモン)は一人前の泥棒と認めてもらいたくてラスティ・ライアン(ブラッド・ピット)に取り入っているが、これからどう発展するのかと思っていたら、途中でまったく触れられなくなる。
フォックスの師匠でオーシャンやラスティとも旧知の仲だったギャスパー・ルマーク(アルバート・フィニー)という〝伝説の大泥棒〟が登場し、物語の重要な鍵を握っていることを匂わせながら、こちらもすぐに消えてしまった。
ユーロポールが一連の強盗事件の捜査を始めると、今度は女刑事イザベル・ヒラリ(キャセリン・セダ=ジョーンズ)がかつてライアンの恋人だったという色恋沙汰が前面に出てくる。
さらに、FBI捜査官のモリー・スターと名乗って取調に加わり、最後になって実はライナスの母親だったことがわかる、というチェリー・ジョーンズのキャラクターに至ってはまるで取ってつけたよう。
そうしたスッタモンダの最中に、アムステルダムにやってきたテス(ジュリア・ロバーツ)がジュリア・ロバーツ本人と偽ってホテルに宿泊し、そこへ「ジュリアじゃない、久しぶりだなあ」とブルース・ウィリスが本人役で絡む、というギャグが挟まれ、これがまた不必要にダラダラと長い。
才能もセンスもある作り手が悪ノリし過ぎ、観客を置き去りにしてしまった典型的な失敗作。
オススメ度C。
ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)
22『オーシャンズ11』(2001年/米)B
21『オーシャンと十一人の仲間』(1960年/米)B
20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2912年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12 『ホテル』(1977年/伊、西独)C
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B
1『大殺陣』(1964年/東映京都)C