『オーシャンと十一人の仲間』(WOWOW)

(Oceans Eleven/1960年 アメリカ=ワーナー・ブラザース 129分)

ハリウッドで一時代を築いた〝シナトラ一家〟全盛期のクライム・コメディ。
というより、いまではスティーヴン・ソダーバーグ監督、ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット主演でリメイクされた『オーシャンズ11』(2001年)の元ネタ、といったほうが通りがいいだろう。

第二次世界大戦中、第82空挺部隊で苦楽をともにした戦友たちがラスベガスで金庫破りをやるために再結集。
カジノを経営する5大ホテルの地下金庫に忍び込み、現金を強奪しようと企む。

ラスベガスで停電を起こし、予備バッテリーとセキュリティ・システムが起動するまでの数分間で泥棒を成功させる、という基本的なアイデアとストーリーの骨子は『オーシャンズ11』とほぼ同じ。
ただし、クルーニーやブラピがまんまと大金をせしめるリメイク版と違い、オリジナル版のこちらには何とも皮肉なオチがつく。

映画の前半はシナトラをはじめ、ディーン・マーティン、ピーター・ローフォード、サミー・デイヴィス・ジュニアらとシナトラの元妻役アンジー・ディキンソン、シャーリー・マクレーンら、当時のスターたちの洒脱な掛け合いを見せることに費やされている。
後半の金庫破りとはまるで関係ない生活ネタが延々と続くのだが、これがいま見てもなかなか面白いのは、シナトラ、マーティン、サミー・デイヴィスの持つ雰囲気とボードビリアンとしてのセンスゆえか。

幕切れ近く、計画が失敗に終わったシナトラ一家の面々がスーツ姿で街路を歩き続けるシーンもカッコイイ。
これはタランティーノが『レザボア・ドッグス』(1992年)で真似している。

監督は35歳で『西部戦線異状なし』(1930年)を撮り、世界的名声を確立したルイス・マイルストン。
この『オーシャンと十一人の仲間』を撮ったときは65歳だった。

おれもそのトシになったらこんな洒落たホンを書けるような年寄りになっていたいものだ。
オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2912年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12 『ホテル』(1977年/伊、西独)C
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B
1『大殺陣』(1964年/東映京都)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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