『ホテル』(WOWOW)

(Kleinhoff Hotel/1977年 イタリア、西ドイツ/日本公開1981年 103分/日本劇場公開版91分)

ソフトコア・ポルノの古典『O嬢の物語』(1975年)で有名なコリンヌ・クレリーがイタリアの社会派カルロ・リツァーニと組んだエロティック・サスペンス。
WOWOWが同時代の『エマニエル夫人』シリーズ全3作(1974〜75年)を2月に初放送するのを機に、こちらも〈官能映画特集〉の1本として初のオンエアとなった。

クレリー演じるヒロイン・パスカルは、結婚して7年目になり、倦怠期を迎えているフランス人女性。
ベルリンの別荘からパリの自宅へ帰ろうとしていたが、飛行機に乗りそびれて学生時代に泊まっていたクラインホフ・ホテルに宿泊し、隣室の若い男カリ(ブルース・ロビンソン)に興味を惹かれる。

パスカルは隣室に通じるドアの隙間からカリの様子を覗き見し、売春婦とのセックスを目の当たりにして興奮。
クレリーはヌードもさりながら、きれいで端正な目元が印象的な女優で、リツァーニはこれでもかとばかりにその目元のクローズアップで押している。

カリはベルリンで暗躍する地下組織のテロリストで、秘かに裏切り者を暗殺するために宿泊していた。
パスカルがカリのあとを尾けている最中、撮影当時のベルリンの学生による反体制運動の点描が挿入されているあたりが社会派のリツァーニらしい。

カリとパスカルはお約束通り愛し合う仲となって、パスカルもパリ行きの飛行機が連日満員なのをいいことに、延泊を重ねて情事に耽る。
しかし、最後は警察に追い詰められたカリがベッドで手首を切って自殺。

朝になってカリが死んだことに気づいたパスカルは、表情ひとつ変えずにホテルから去って行く。
こういうエンディングのビターな味わいは昔のイタリア映画ならではだろう。

ただ、クレリーは短く切ったヘアスタイルが日本の〝おばさんパーマ〟みたいで、『O嬢』や『ヒッチハイク』(1977年)よりも魅力に乏しい。
本作以降、主要な活躍の場をイタリアのテレビに移したそうで、映画にはほとんど出なくなりましたね。

オススメ度C。

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※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

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スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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