これもWOWOWで放送されたら必ず観てしまう〈マーベル・シネマティック・ユニバース〉の第18作となる最新作。
主人公は前作『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年)の脇役として初登場したブラックパンサー/ティ・チャラ(バドウィック・ボーズマン)で、今回は堂々たる一枚看板の主役を張っている。
開巻、父親が子供におとぎ話を聞かせるようなナレーションが流れ、ブラックパンサーの母国ワカンダの歴史が語られる。
はるか昔、ワカンダにはヴィブラニウムという巨大な隕石が落下、これがダイヤモンドよりも硬い〝万能鉱石〟であることを知った国民は、ヴィブラニウムの存在を他国から隠し、地球上で最も科学文明の発展した社会を築いていた。
国家は王政が敷かれており、国民は老若男女すべて黒人。
この国の王位をティ・チャラが継ぐことになったころ、エリック・キルモンガー・スティーヴンス(マイケル・B・ジョーダン)によって秘かにロンドン博物館に展示されていたヴィブラニウムが盗まれる。
実はキルモンガーもワカンダ国王の血筋を引いており、ティ・チャラと同様、王位継承権を持っていた。
ワカンダの伝統によってティ・チャラはキルモンガーと対決することになり、あえなく敗れ去って滝壺へ突き落とされてしまう。
正直なところ、ここまでの展開はいかにも月並みで〝何度も観たよ〟感いっぱい。
しかし、タカ派のキルモンガーがヴィブラニウムを武器に世界制覇に乗り出すと宣言、ワカンダが大混乱に陥り、反キルモンガー派がティ・チャラを救い出して反撃に出るあたりから、俄然面白くなってくる。
クライマックスではキルモンガー軍とティ・チャラ軍の黒人同士が肉弾戦を繰り広げ、当然のことながら大将のティ・チャラもブラックパンサーに変身し、迫力たっぷりのリベンジマッチを披露する。
これほど大規模な黒人による集団格闘シーンはハリウッド映画史上初と言ってよく、これだけでも一見に値する、というか、いっそ観ないで死ねるか、というレベルと言っていい。
監督ライアン・クーグラー、敵役マイケル・B・ジョーダンは言うまでもなく、〈ロッキー〉シリーズの続編『クリード』第1、2作(2015、18年)でタッグを組んだ名コンビ。
主要スタッフもほとんど黒人で固められており、ひょっとしたら映画史上最大規模の〝ブラックプロイテーション〟と言えるかもしれない。
エンディングでは、ニューヨークの国連に乗り込んだティ・チャラが「われわれは国境に壁をつくるのではなく、橋をかける!」と宣言。
明らかにトランプ政権を批判した政治的メッセージだが、何の臭みも感じさせず、思わずうなずいてしまうほどの力強さだった。
オススメ度A。
ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B
1『大殺陣』(1964年/東映京都)C