キャンプ取材4日目は「成瀬合格」

宗の第1打席はスライダーで空振り三振

正直言って、実際に訪ねてみるまで、個人的な期待度が最も低かったのがきょうのオリックスの清武キャンプです。
3日目のきのうまでにスポーツ紙で読んだこの球団の記事は、ドラフト1位新人・太田モノが2本、若手に覇気がないと西村監督が怒ったという雑感が1本。

監督が選手にゲキを飛ばすのは結構なことだけど、キャンプ3日目の記事がこれかよ、と思わないではいられない。
この調子じゃ、きょうの練習も期待できないかな、と思ったら、意外にもなかなか感動的なドラマが見られました。

このキャンプには昨年ヤクルトをクビになり、一時はBCリーグ栃木に身を寄せていた成瀬がテスト生として参加中。
きのうまでブルペンで3日間投げたあと、いよいよきょう、実戦形式のシート打撃に登板し、初めて打者に向かって投げたのです。

知り合いの記者の方々と見守ったテスト登板の結果は、宗、山足、西浦に各2打席ずつ、計25球を投げてヒット性の当たりが2本。
成瀬自身も「スピードはともかく、コントロールがよかったので、納得のいく投球ができた。次回はもっとしっかり投げたい」とホッとした表情を見せていた。

そうしたら、西村監督がこの結果を受けて早くも合格を決定。
「ヒット性の当たりと言っても、芯を外して詰まらせていましたから。あれが真芯を食ったあたりだったからもう少し考えたけど、これぐらいの結果を見せてもらえばね」と、十分に手応えを感じていることを強調していました。

一軍最低保証額1500万円プラス出来高で、背番号は46。
西村監督によれば、「使い方はこれから考えますが、先発か中かとなると、先発に入ってくるのかな」とのこと。

ロッテ時代は巨人キラーとして勇名を馳せ、得意のスライダーとチェンジアップでスター選手に凡打の山を築かせた成瀬。
きょうのテスト登板をその巨人の編成担当がネット裏で見守っていたことも、〝因縁の対決〟が新章に入るかも、と期待させますね。

それにしても、きょうの宮崎は暑かった。
そのぶん、球団支給のクーポンで買った地元のソフトクリーム350円も格別の味でした。

これはうまかった!


スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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