某評論家とお好み焼き

お好み焼き

 きょうも某強豪高校で半日みっちりと取材。
 その後、某OB評論家とお好み焼きを食べに行くことに。

 行く前にガラケーを取り出した某OB、「おい、何食う? そば肉玉でええか?」

 私「え? 出前取るんですか」

 某OB「違うわい。これから食べに行くんよ。いま電話で注文しとったら、着いたときにすぐ食えるじゃろうが。ここは早いけえ、7分で焼けるよ」

 そう言われて連れて行かれたのが、舟入にある〈一番〉というお店(画像)。
 いやあ、懐かしいねえ、こういう雰囲気。

 店のフロア、というより土間の真ん中に鉄板、丸椅子に腰掛けてヘラで食べる、という昔ながらのスタイル。
 鉄板の内側にいるおばちゃん1人、お姉さん2人が手際よく焼いて、パッパッパッとわれわれの目の前に出していく。

 某OB「これで600円よ、600円。安うてええじゃろ。
 昔はこれを300枚焼きょうったんで。
 600円×300枚で1年もやってみい。
 18万円×300日としても5400万円になる。
 それで、わしが中学2年のころからやっとるんじゃけん、はあ開店して50年」 
 ほいじゃけえ、ここは儲かっとるんよ」

 おばちゃん「そんなに儲かっとるわけがないじゃろ。
 昔は○○(某強豪校)のすぐ裏にあったけん、仰山生徒が寄ってくれよったけど、いまはさっぱりじゃわいね。
 (店舗が)電車通りを挟んだところに変わると、どうしても足が遠のくよね」

 こういう会話も広島風お好み焼き屋の〝味〟のひとつ。
 最近、広島の繁華街で流行っている店は、美味しいことは美味しいけど、こういう昔ながらのスパイスがないんですよね。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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