スポーツに限らず、ノンフィクションの面白さとは、基本的に〝昔話〟にあると思う。
競技に関わった選手、ライバル、関係者たちが、現在進行形、もしくはさほど時間が経っていないころに語れなかった打ち明け話が、読む者を惹きつけるのだ。
最近は、Numberでそういう原稿を書くことが多い。
田代富雄さんの大洋ホエールズ時代、池田高校の水野雄仁さんが打たれた最後の夏の甲子園、カープが最後に日本一になった1984年の日本シリーズ・広島vs.阪急、などなど。
今回、改めて振り返ったドラマは27年前、カープがあと一歩のところで日本一を逃した1991年のシリーズです。
このとき、ぼくは日刊ゲンダイの記者として第1戦から7戦まですべてを取材、最後には西武の強さをまざまざと見せつけられ、悔しさに歯噛みしていました。
第6戦で逆転タイムリーを打たれた川口和久さん、その球を受けていた達川光男さんをはじめ、当時主力だったカープOBの方々とはその後、あの悔しさを何度も語り合ったものです。
そうした様々な思いを、いま改めて原稿にまとめる機会を与えてくれたNumberに感謝!
ぼくと同世代の人たちにも、91年にはまだ生まれていなかったという読者にも、ぜひ読んでいただきたい。
よろしくお願いします!
(発行:文藝春秋 2018年11月22日号 定価:600円=税込)