『激ペンです 泣いて笑って2017試合』白取晋(報知新聞社・編)

報知新聞の名物コラム『激ペン』が、白取晋さんの死後、1冊の本にまとめられたもの。
前項『激ペンだ! オレは史上最狂の巨人ファン』(1984年/経済往来社)を読んで、新聞に掲載されたコラムも改めて再読したくなり、こちらはAmazonで古書を取り寄せた。

『激ペン』が全部で2017本あるとは、この本のタイトルを見て初めて知った。
私が東スポで連載している『赤ペン‼』がいまやっと170本、それまでに2010年からやっているコラムを含めても400本にも満たないから、仮に100歳まで東スポで書き続けても到底追いつける数字ではない。

本書には私が日刊ゲンダイの巨人担当記者だったころ、毎日のように足繁く球場に通い、一投一打に一喜一憂していた時代のコラムがたくさん収められている。
思えば、当時は毎日ようにこの『激ペン』を読んでから取材に出かけていたものだった(新聞代も安かったし)。

しかし、時系列を追って読んでいくと、さすがの白取さんも晩年は1980年代のテンションとボルテージを維持するのが難しくなっていたことが感じられる。
ご本人を知っているぶん、最後まで読み通すのはつらい本でもある。

もうひとつ、いまさら言っても詮無いことだが、報知の紙面に掲載された『激ペン』現物の画像も載せてほしかった。
あのコラムはやはり、新聞紙面の中にある囲みで読んでこそ味がある。

(発行:報知新聞社 初版:1993年11月10日 定価:1359円=税別/古書)

2018読書目録

16『激ペンだ! オレは史上最狂の巨人ファン』白取晋(1984年/経済往来社)
15『戦国と宗教』神田千里(2016年/岩波書店)
14『陰謀の日本中世史』呉座勇一(2018年/KADOKAWA)
13『無冠の男 松方弘樹伝』松方弘樹、伊藤彰彦(2015年/講談社)
12『狐狼の血』柚月裕子(2015年/KADOKAWA)
11『流』東山彰良(2015年/講談社)
10『炎と怒り トランプ政権の内幕』フランク・ウォルフ著、関根光宏・藤田美菜子他10人訳(2018年/早川書房)
9『カシタンカ・ねむい 他七篇』アントン・チェーホフ著、神西清訳(初出1887年~/岩波書店)
8『子どもたち・曠野 他十篇』アントン・チェーホフ著、松下裕訳(初出1888年~/岩波書店)
7『六号病棟・退屈な話 他五編』アントン・チェーホフ著、松下裕訳(初出1889年~/岩波書店)
6『最強軍団の崩壊』阿部牧郎(1980年/双葉社)
5『女子プロレスラー小畑千代 闘う女の戦後史』秋山訓子(2017年/岩波書店)
4『白鵬伝』朝田武蔵(2018年/文藝春秋)
3『ザナック/ハリウッド最後のタイクーン』レナード・モズレー著、金井美南子訳(1986年/早川書房) 
2『テトリス・エフェクト 世界を惑わせたゲーム』ダン・アッカーマン著、小林啓倫訳(2017年/白楊社)
1『路(ルウ)』吉田修一(2012年/文藝春秋)


スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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