『グーニーズ』(NHK-BS)

The Goonies

 1970~80年代、現代のDCシリーズとは趣を異にする質実剛健な『スーパーマン』シリーズを撮っていたリチャード・ドナー監督作品。
 製作総指揮にはスティーヴン・スピルバーグをはじめフランク・マーシャル、キャスリーン・ケネディが名を連ね、劇場公開当時は大ヒットを記録した。

 ぼくはシンディ・ローパーの歌う主題歌『グーニーズはグッドイナフ』が好きで、いまでもiPod nanoに入れているのだが、肝心の映画を見たことは一度もなかった。
 この主題歌のMTV(当時流行したミュージック・ビデオ)ではプロレス団体WWFとのコラボが行われ、ハルク・ホーガンやロディ・パイパーが出演、大笑いしたことまでよく覚えてるんですけどね。

 しかし、初めて見た本編自体は、よくできてはいるものの、現代ではいささかまどろっこしく感じられる。
 タイトルのグーニーズは港町に住むいたずらっ子4人のチームで、マイキー(ショーン・アスティン)、マウス(コリー・フェルドマン)、チャンク(ジェフ・コーエン)、データ(キー・ホイ・クァン)、「イモ波止場のマヌケなやつら」という意味。

 リーダー格のマイキー、食いしん坊のチャンク、発明マニアのデータ、外国語に堪能なマウスと、キャラクターもしっかり描き分けられていて、それぞれになかなか魅力的。
 この4人がある日、不動産屋に立ち退きを迫られているマイキーの家の屋根裏で、伝説の海賊「片目のウィリー」が残した宝物の在り処を示す地図を発見する。

 金銀財宝を手に入れれば家を売らなくても住むからと、みんなで宝探しに乗り出した海岸のあばら家には、ならず者のブラッテリー一家(アン・ラムジー、ロバート・デヴィ・ジョー・パントリアーノ)が潜んでいた。
 こうして、グーニーズの宝探しと悪漢たちとの追っかけっこが並行して展開する。

 あばら家の地下は洞窟の迷路になっていて、海賊たちによってあちこちにブービートラップが仕掛けられていた。
 この様々なワナをグーニーズがどうにかこうにかかい潜り、ようやく宝物の在り処に辿り着いたところで、追いかけてきたブラッテリー一家も到着し、くんずほぐれつのバトルとなる。

 このクライマックスにきて、おつむが弱く、バカ力の持ち主で、顔の左半分が変形しているブラッテリー一家の末弟スロース(ジョン・マトゥザック)が思わぬ大活躍を見せる。
 という展開の中で、いろいろと見どころは多いのだが、スピルバーグが自分で監督した『インディ・ジョーンズ』シリーズのようなスピード感に乏しい。

 グーニーズにはマイキーの兄ブランド(ジョシュ・ブローリン)とその彼女アンディ(ケリー・グリーン)、アンディの女友だちステフ(マーサ・プリンプトン)が同伴していて、ブランドの保護者然とした態度、女の子たちがキャーキャー騒ぐ場面がストーリーを停滞させている。
 いっそのこと、彼らのパートをばっさりカットしたほうがよかったのではないか。

 オススメ度C。

(1985年 アメリカ=ワーナー・ブラザース 111分)

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※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

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2『新宿インシデント』(2009年/香、日)B
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スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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