『パトリオット・デイ』(WOWOW)

Patriots Day

 いまやハリウッド最強の〝実録路線コンビ〟となったマーク・ウォールバーグ主演、ピーター・バーグ監督による実話ダネで、『ローン・サバイバー』(2014年)、『バーニング・オーシャン』(2016年)に続く3本目。
 今回もまったく期待を裏切らない出来栄えを示しており、2時間10分ちょっとをあっという間に見せてしまう。

 モデルとなっているのは、911以降最悪のテロ事件とされる2013年4月13日のボストンマラソン爆弾テロ事件。
 狂信的なイスラム教徒の若い兄弟2人が仕掛けた爆弾により、マラソンに参加、観戦していた3人が死亡、299人が負傷し、FBIとボストン警察が事件発生から102時間で犯人を逮捕する過程が描かれる。

 序盤から極力無駄を省き、丁寧にディテールを積み重ねていくピーター・バーグの話術は本作でも健在。
 主人公のトミー・サンダース刑事(ウォールバーグ)をはじめ、事件で片足を失うパトリック・ダウンズ(クリストファー・オシェイ)やジェシカ・ケンスキー(レイチェル・ブロズ)、途中から捜査に加わるジェフ・ピュジリーズ巡査部長(J・K・シモンズ)、事件に巻き込まれる中国人留学生ダン・マン(ジミー・O・ヤン)の人物像や家族関係をテキパキと紹介した冒頭の場面の数々が、クライマックスにきて効いてくる。

 ほとんどの登場人物が実在の関係者で占められている中、ウォールバーグ演じるサンダースだけは架空の人物だそうだが、見ている間はまったく違和感を感じさせない。
 これぞ現代の実録路線ですな。

 オススメ度A。

(2016年 アメリカ=ライオンズゲート/日本配給2017年 キノフィルムズ 134分)

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2018リスト
※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

52『北陸代理戦争』(1977年/東映)A
51『博奕打ち外伝』(1972年/東映)B
50『玄海遊侠伝 破れかぶれ』(1970年/大映)B
49『暴力金脈』(1975年/東映)B
48『資金源強奪』(1975年/東映)B
47『ドライヴ』(2011年/米)C
46『バーニング・オーシャン』(2016年/米)A
45『追憶の森』(2015年/米)B
44『22年目の告白 -私が殺人犯です-』(2017年/ワーナー・ブラザース)B
43『パットン大戦車軍団』(1970年/米)B
42『レッズ』(1981年/米)B
41『ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男』(2016年/米)B
40『エクス・マキナ』(2015年/米)B
39『オール・アバウト・マイ・マザー』(1999年/西)B
38『ムーンライト』(2016年/米)B
37『アメリカン・バーニング』(2017年/米)B
36『セル』(2017年/米)C
35『トンネル 闇に鎖された男』(2017年/韓)B
34『弁護人』(2013年/韓国)A
33『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年/クロックワークス)A
32『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』(2017年/東宝)B
31『南極料理人』(2009年/東京テアトル)B
30『沈黙 -サイレンス-』(2016年/米)B
29『メッセージ』(2016年/米)B
28『LOGAN/ローガン』(2017年/米)C
27『チャック~“ロッキー”になった男~』(2017年/アメリカ)B
26『ヒッチコック/トリュフォー』(2015年/米、仏)B
25『沖縄やくざ戦争』(1976年/東映)B
24『恐喝こそわが人生』(1968年/松竹)B
23『われに撃つ用意あり』(1990年/松竹)C
22『T2 トレインスポッティング』(2017年/英)A
21『ロスト・エモーション』(2016年/米)C
20『激流』(1994年/米)C
19『チザム』(1970年/米)B
18『駅馬車』(1939年/米)A
17『明日に処刑を…』(1972年/米)A
16『グラン・ブルー[オリジナル・バージョン]』(1988年/仏、伊)B
15『エルストリー1976- 新たなる希望が生まれた街 -』(2015年/英)D
14『I AM YOUR FATHER/アイ・アム・ユア・ファーザー』(2015年/西)B
13『サム・ペキンパー 情熱と美学』(2005年/独)B
12『ビリー・ザ・キッド 21才の生涯』(1973年/米)B
11『わらの犬』(1971年/米)A
10『O嬢の物語』(1975年/仏、加、独)C
9『ネオン・デーモン』(2016年/仏、丁、米)D
8『団地』(2016年/キノフィルムズ)B
7『スティーブ・ジョブズ』(2015年/米)B
6『スノーデン』(2016年/米)A
5『キングコング:髑髏島の巨神』(2017年/米)B
4『ドクター・ストレンジ』(2016年/米)B
3『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』(1967年/台、香)B
2『新宿インシデント』(2009年/香、日)B
1『日の名残り』(1993年/英、米)A

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
先頭に戻る