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『暗黒街最大の決斗』(東映ch)
2015年06月22日(月)


 ぼくと同世代の映画ファンには、時々無性に昔の東映ヤクザ映画を見たくなる、という好事家が少なくない。
 もちろん、日活派、東宝派、松竹派もいるだろうが、東映映画の訴求力はもっと強烈で根源的なものがあるように思う。

 先月、スカパー!と契約を結び直す際、2週間の無料お試し期間で、〈東映チャンネル〉の放送作品を見る機会に恵まれた。
 1本目が鶴田浩二と高倉健が共演したこの『暗黒街最大の決斗』である。

 このタイトルにこのキャスティングだから、鶴田と高倉が対決するのだろうと、劇場公開当時、ワクワクしながら映画館に足を運んだファンも多かったはず。
 序盤の顔合わせから浅からぬ因縁のある雰囲気が漂い、一度はすんでのところで激突しそうになって、大いに期待をあおるあたりもなかなかうまい。

 鶴田はアメリカから日本に帰ってきたギャンブラーで、日本で闇カジノを経営する愚連隊のボス・大木実の親友。
 大木と提携関係を結んでいるアメリカのマフィアに依頼され、大木に是非にと頼み込まれたこともあり、闇カジノでディーラーとして働き始める。

 一方、自前の賭場を開いてシノギにしている古くからの暴力団は、かねて大木らを敵対視、叩き潰そうと狙っていた。
 日本全国の暴力団はトップクラスの組長13人で構成される横断組織「睦会」に仕切られている、という設定になっていて、この一員になろうと目論む郷田組組長・安部徹が愚連隊潰し≠フ急先鋒。

 急逝した父親の後を継いで「老松組」の組長になり、新たにその睦会の一員に加わったのが高倉健。
 まだ大学を卒業したばかりの新米やくざで、安部は高倉を追い落とし、自分が睦会入りしようと虎視眈々と狙っている。

 そうした入り組んだ人間関係の中で小競り合いが続くうち、なんと、鶴田と高倉が血を分けた兄弟だったことがわかる。
 鶴田は恋愛がらみの事件でやくざ渡世が嫌になり、親兄弟と義絶して渡米、おかげで次男の高倉が老松組の跡目を継がなければならなくなったのだった。

 クライマックスは大木のカジノのオープニングパーティーに安部が組員を引き連れて乱入、マシンガンを乱射するわ、ダイナマイトをぶっ放すわと、この時代の映画ならではの大立ち回りが展開される。
 このあたりの演出はそこそこ快調で、往年の娯楽の職人・井上梅次監督の面目躍如と言えよう。

 しかし、鶴田と高倉を実の兄弟にするという設定には、やはりいくら何でも無理があり過ぎた。
 一方で、大木の演じる役割が次第に膨らんでゆき、最後は鶴田と組んで安部と対決、高倉はほとんど何もすることがなく傍観しているだけになってしまう。

 ストーリーの上で安部にケジメをつけなければいけないのは健さんなのに、何ともトンチンカンな展開と言うほかない。
 大木が鶴田と高倉を逃がし、ダイナマイトで自爆してしまうに至っては、この映画、いったい誰が主役だったのかと首をひねりたくなるほど。

 ちなみに、本作は1963年7月13日公開。
 同じ年の3月16日にはやはり鶴田と高倉が共演、東映任侠路線の嚆矢となった『人生劇場 飛車角』が公開されて大変な評判を取ったばかり。

 ご存知のように、『人生劇場』では鶴田がタイトルの飛車角を演じ、高倉は弟分の宮川役で脇に回った。
 リメイク版の『人生劇場 飛車角と吉良常』(1968年)でもまったく同じ設定で共演している。

 鶴田と高倉の「やくざ同士の兄弟分」がドンピシャリでハマっていたから、今度は「実の兄弟」でいこう、とでも考えたのだろうか。
 あり得ないだろ、これ! という感じでした。

 お勧め度はC。

(1963年 東映 101分)

 ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2015リスト
 ※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

57『ヒッチハイク』(1977年/伊)B
56『裏切りの荒野』(1967年/伊)C
55『ミッション』(1986年/英)B
54『生きてこそ』(1993年/米)B
53『ダブル・ジョパディー』(1999年/米)B
52『レ・ミゼラブル』(2012年/米)A
51『トランセンデンス』(2014年/米)C
50『ダイバージェント』(2014年/米)C
49『狼男アメリカン』(1981年/米)B
48『グレートレース』(1965年/米)B
47『海底二万哩』(1954年/米)B
46『救命艇』(1944年/米)B
45『ゴジラ』(1984年/東宝)C
44『怪獣総進撃』(1968年/東宝)C
43『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967年/東宝)C
42『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966年/東宝)C
41『リアリティー』(2012年/伊、仏)C
40『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』(2014年/諾、瑞、丁)C
39『まごころを君に アルジャーノンに花束を』(1968年/米)C
38『ビューティフル・マインド』(2001年/米)B
37『あ・うん』(1989年/東宝)B
36『ローン・サバイバー』(2014年/米)A
35『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年/米)B
34『真昼の決闘』(1952年/米)A
33『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(1990年/米)B
32『運動靴と赤い金魚』(1997年/伊蘭)A
31『ルームメイト』(2013年/東映)C
30『モテキ』(2011年/東宝)C
29『神様のカルテ』(2011年/東宝)C
28『バットマン』(1989年/米)B
27『バックドラフト』(1991年/米)B
26『イーグル・アイ』(2008年/米)A
25『そこのみにて光輝く』(2014年/東京テアトル他)A
24『サイドウェイ』(2004年/米)A
23『ザ・キャピタル マネーにとりつかれた男』(2012年/仏)C
22『メトロ42』(2012年/露)C
21『リベンジ・マッチ』(2013年/米)C
20『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』(2013年/米)C
19『ボーン・アルティメイタム』(2007年/米)B
18『ボーン・スプレマシー』(2003年/米)B
17『ボーン・アイデンティティー』(2002年/米)B
16『ザ・タワー 超高層ビル大火災』(2012年/韓)B
15『ハードエイト』(1996年/米)A
14『刑事コロンボ 第38話「ルーサン警部の犯罪」』(1976年/米)B
13『刑事コロンボ 第37話「さらば提督」』(1976年/米)B
12『ワイルド・ビル』(1995年/米)C
11『鷲と鷹』(1969年/米)C
10『プロフェッショナル』(1966年/米)C
9『戦略大作戦』(1970年/米)C
8『スリー・キングス』(1999年/米)B
7『里見八犬伝』(1983年/角川春樹事務所)C
6『パシフィック・リム』(2013年/米)A
5『大脱出』(2013年/米)B
4『追悼のメロディ』(1976年/仏)A
3『フリック・ストーリー』(1975年/仏、伊)B
2『ロボコップ』(2014年/米)B
1『アメリカン・ハッスル』(2013年/米)B