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『狼男アメリカン』(STARch2)
2015年06月13日(土)
An American Werewolf in London


 1980年代初頭、いずれ劣らぬ特殊メイクの技術を競い合った3本の狼男映画があった。

 1本がロブ・ボッティンが手がけた『ハウリング』(ジョー・ダンテ監督、1981年)、もう1本がクリストファー・タッカーが担当した『狼の血族』(1984年)。
 そして、これこそ最高と言われたのが、当時の大御所リック・ベイカーが革新的な技術を披露した本作である。

 ただし、劇場公開当時、最もインパクトが強かったのは、3本の中で最初に公開された『ハウリング』だった。

 狼男と言えばそれまで、『狼男』(1941年)に主演したロン・チャニー・ジュニアの毛むくじゃらの顔に大きな牙の化け物、というイメージが一般的で、狼男よりも雪男みたいな類人猿系の怪物に近かった。
 そこへ、ボッティンが初めて、人間の顔の骨格そのものが狼に変身するというアイデアを具現化し、世界のホラー映画ファンの度肝を抜いたのだ。

 ボッティンの師匠ベイカーもまた、『ハウリング』にはびっくりさせられたらしい。
 すでに『狼男アメリカン』は完成していたのだが、このまま公開したら弟子に負けてしまうからと、変身場面だけ特殊メイクを全面的に改め、一から撮り直したという。

 『ハウリング』は人間から狼に変わるのが顔だけで、満月の光が差し込んでいる夜の室内、という設定で変身していた。
 そこでベイカーは、顔だけでなく全身が人間から狼に変わってゆく過程をじっくりとリアルに描き込んで、しかも特殊メイクの細部まではっきりと見えるよう、照明をともした明るい部屋で変身させている。

 いまでも十分に見応えがあり、CGが導入される前の時代ならやはりこれがベストだろう、と納得できる出来映え。
 未見のホラー映画ファン、及び特殊メイクマニアはぜひ一度チェックすることをお勧めする。

 ただし、作品自体は正攻法のホラーではなく、コメディー映画として作られている。

 監督は『ケンタッキー・フライド・ムービー』(1977年)、『アニマル・ハウス』(1978年)などでいまもカルト的な人気を誇るコメディーの鬼才ジョン・ランディス。
 本作では主人公をごく普通のアメリカの大学生(デヴィッド・ノートン)、彼が狼男に変身して暴れ回る舞台をロンドンに設定したアイデアが洒落ている。

 ノートンが悪友のグリフィン・ダンとイギリス郊外の田舎町へヒッチハイク旅行に出かけ、ここで狼男に襲われる。
 ダンは死んだがノートンは一命を取り留め、ロンドンの病院に担ぎ込まれていたところ、血みどろのダンが亡霊と化して現れるようになった。

 おまえはもう狼男になっている、満月の夜になったら変身して人を食い殺して回るだろう、だから正気でいられる人間でいるうちに自殺しろ。
 そう言い募るダンが、亡霊のくせに現れるたびに身体が腐敗していき、「お前が早く死なないからおれもこんなカッコでこの世をうろついてなきゃいけないんだ!」と愚痴るところが何ともおかしい。

 ノートンと恋仲になる病院の看護師役が、当時の清純派ジェニー・アガター。
 ぼくにとっては懐かしい女優さんで、オッパイをチラリと見せてくれるのがこのトシになってもちょっとうれしい。

 ストーリーが一本調子、テイストが中途半端、クライマックスが尻窄みなど、いろいろと欠点の多い映画だが、ホラー映画ファンにとってマストのアイテムであることは間違いない。
 お勧め度は資料的価値を加味してB。

(1981年 アメリカ=ユニヴァーサル・ピクチャーズ/日本配給1982年 日本ヘラルド映画 98分)

 ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2015リスト
 ※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

48『グレートレース』(1965年/米)B
47『海底二万哩』(1954年/米)B
46『救命艇』(1944年/米)B
45『ゴジラ』(1984年/東宝)C
44『怪獣総進撃』(1968年/東宝)C
43『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967年/東宝)C
42『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966年/東宝)C
41『リアリティー』(2012年/伊、仏)C
40『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』(2014年/諾、瑞、丁)C
39『まごころを君に アルジャーノンに花束を』(1968年/米)C
38『ビューティフル・マインド』(2001年/米)B
37『あ・うん』(1989年/東宝)B
36『ローン・サバイバー』(2014年/米)A
35『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年/米)B
34『真昼の決闘』(1952年/米)A
33『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(1990年/米)B
32『運動靴と赤い金魚』(1997年/伊蘭)A
31『ルームメイト』(2013年/東映)C
30『モテキ』(2011年/東宝)C
29『神様のカルテ』(2011年/東宝)C
28『バットマン』(1989年/米)B
27『バックドラフト』(1991年/米)B
26『イーグル・アイ』(2008年/米)A
25『そこのみにて光輝く』(2014年/東京テアトル他)A
24『サイドウェイ』(2004年/米)A
23『ザ・キャピタル マネーにとりつかれた男』(2012年/仏)C
22『メトロ42』(2012年/露)C
21『リベンジ・マッチ』(2013年/米)C
20『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』(2013年/米)C
19『ボーン・アルティメイタム』(2007年/米)B
18『ボーン・スプレマシー』(2003年/米)B
17『ボーン・アイデンティティー』(2002年/米)B
16『ザ・タワー 超高層ビル大火災』(2012年/韓)B
15『ハードエイト』(1996年/米)A
14『刑事コロンボ 第38話「ルーサン警部の犯罪」』(1976年/米)B
13『刑事コロンボ 第37話「さらば提督」』(1976年/米)B
12『ワイルド・ビル』(1995年/米)C
11『鷲と鷹』(1969年/米)C
10『プロフェッショナル』(1966年/米)C
9『戦略大作戦』(1970年/米)C
8『スリー・キングス』(1999年/米)B
7『里見八犬伝』(1983年/角川春樹事務所)C
6『パシフィック・リム』(2013年/米)A
5『大脱出』(2013年/米)B
4『追悼のメロディ』(1976年/仏)A
3『フリック・ストーリー』(1975年/仏、伊)B
2『ロボコップ』(2014年/米)B
1『アメリカン・ハッスル』(2013年/米)B