counter
www.akasaka-cycle.com
font size       [old site
 home   blog   works   pick-up   others   profile   bbs 
『海底二万哩』(STARch2)
2015年06月10日(水)
20000 Leagues Under the Sea


 1954年、ウォルト・ディズニーが初めて製作した実写版長篇劇映画。
 子供のころ、何度かテレビの洋画劇場で放送されていながら、そのたびに見損なってずっと悔しい思いをしていた1本でもある。

 しかもこの映画、巨大なイカが原子力(たぶん)潜水艦ノーチラス号に襲いかかるシーンだけはテレビの映画特番で見ていて、強烈に好奇心を刺激された。
 今回は、10歳にもならないころの怨みを50歳過ぎてやっとこさ晴らした、ということになる。

 じっくり鑑賞してみて目を奪われたのは、やはりノーチラス号のデザイン。
 担当のハーパー・ゴフはこれを考え出しただけで後世に名を残しており、ディズニーランド・パリ、東京ディズニーシーのミステリアスアイランドにはいまもこのノーチラス号が停泊しているほど。

 美術のジョン・ミーハンが手がけたノーチラス号の内装もまことに壮観。
 とくに館長室に置かれたパイプオルガンが見事で、ネモ艦長を演じるジェームズ・メイスンが苦悩の表情を浮かべながら、これを黙々と演奏する場面が大変印象深い。

 大変驚かされ、かつ興味深かったのは、そのネモ艦長のキャラクター造形である。

 ネモ艦長はかつて孤島の火薬製造工場で強制労働に従事させられおり、ここから仲間とともに脱出、別の島で「新動力源」によって動くノーチラス号を建造した。
 追ってきた(アメリカの?)警察と政府にその「新動力源」の原理を明かすよう迫られ、妻子を拷問にかけられて殺されてしまい、仲間とともに海に逃れたのだ、というのである。

 そのすべてをポール・ルーカス演じるアナロクス教授に打ち明けたネモ艦長は、ノーチラス号の秘密を守るため、帰港している孤島の秘密基地を爆破し、自らも艦や仲間とともに海中に没する。
 基地が爆発するや、明らかに原水爆のキノコ雲にそっくりな噴煙が上がるところでまたびっくり。

 本作が製作された1954年の国際社会情勢を考えると、このキノコ雲に何らかのメッセージが込められているのではないかと深読みしたくなる。
 ディズニーは戦時中、戦意昂揚映画の製作に協力的で、戦後も反共主義者として知られていた人物ではあるが、意外にこういうところに自分の主張を盛り込んでいたのかもしれない。

 監督のリチャード・フライシャー、編集のエルモ・ウィリアムズはのちに戦争映画の超大作『トラ・トラ・トラ!』(1970年)を製作、大いに名を上げることになる。
 とりわけフライシャーのダイナミック、かつテンポのいい演出はいま見てもまったく古びていない。

 『黒澤明vs.ハリウッド 「トラ・トラ・トラ!」その謎のすべて』(2006年 講談社 田草川弘著)によると、『トラ・トラ・トラ!』の監督を降ろされた黒澤は、フライシャーが『ミクロの決死圏』(1966年)を撮ったことから、「あのミクロ野郎」と悪口ばかり言っていたそうだが、何が気に入らなかったのかな。
 
 お勧め度はB。

(1954年 アメリカ=ウォルト・ディズニー・プロダクション製作、ブエナ・ビスタ配給/日本配給1955年 大映 127分)

 ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2015リスト
 ※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

46『救命艇』(1944年/米)B
45『ゴジラ』(1984年/東宝)C
44『怪獣総進撃』(1968年/東宝)C
43『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967年/東宝)C
42『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966年/東宝)C
41『リアリティー』(2012年/伊、仏)C
40『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』(2014年/諾、瑞、丁)C
39『まごころを君に アルジャーノンに花束を』(1968年/米)C
38『ビューティフル・マインド』(2001年/米)B
37『あ・うん』(1989年/東宝)B
36『ローン・サバイバー』(2014年/米)A
35『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年/米)B
34『真昼の決闘』(1952年/米)A
33『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(1990年/米)B
32『運動靴と赤い金魚』(1997年/伊蘭)A
31『ルームメイト』(2013年/東映)C
30『モテキ』(2011年/東宝)C
29『神様のカルテ』(2011年/東宝)C
28『バットマン』(1989年/米)B
27『バックドラフト』(1991年/米)B
26『イーグル・アイ』(2008年/米)A
25『そこのみにて光輝く』(2014年/東京テアトル他)A
24『サイドウェイ』(2004年/米)A
23『ザ・キャピタル マネーにとりつかれた男』(2012年/仏)C
22『メトロ42』(2012年/露)C
21『リベンジ・マッチ』(2013年/米)C
20『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』(2013年/米)C
19『ボーン・アルティメイタム』(2007年/米)B
18『ボーン・スプレマシー』(2003年/米)B
17『ボーン・アイデンティティー』(2002年/米)B
16『ザ・タワー 超高層ビル大火災』(2012年/韓)B
15『ハードエイト』(1996年/米)A
14『刑事コロンボ 第38話「ルーサン警部の犯罪」』(1976年/米)B
13『刑事コロンボ 第37話「さらば提督」』(1976年/米)B
12『ワイルド・ビル』(1995年/米)C
11『鷲と鷹』(1969年/米)C
10『プロフェッショナル』(1966年/米)C
9『戦略大作戦』(1970年/米)C
8『スリー・キングス』(1999年/米)B
7『里見八犬伝』(1983年/角川春樹事務所)C
6『パシフィック・リム』(2013年/米)A
5『大脱出』(2013年/米)B
4『追悼のメロディ』(1976年/仏)A
3『フリック・ストーリー』(1975年/仏、伊)B
2『ロボコップ』(2014年/米)B
1『アメリカン・ハッスル』(2013年/米)B