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『チェンジリング』(WOWOW)
2018年10月11日(木)
Changeling


 息子を誘拐され、無事に戻ってきたと思ったら別人だったと判明、途方に暮れる母親をアンジェリーナ・ジョリーが演じ、クリント・イーストウッドが監督している。
 劇場公開当時、この概略だけを知り、てっきりよくある子供の取り違えミステリー≠ゥと思ったら、現実に起こった事件を映画化した堂々たる社会派の力作だった。

 元ネタになったのはゴードン・ノースコット事件という連続少年誘拐殺人事件で、舞台は1920年代のロサンゼルス。
 当時の社会、風俗を再現した美術担当のジェームズ.J.ムラカミ、衣裳担当デボラ・ホッパーが完璧に近い仕事をしており、電話会社の主任交換手を務める主人公クリスティン・コリンズ(ジョリー)の日常を描いた冒頭から引き込まれる。

 当時のロサンゼルス警察は捜査能力に乏しく、麻薬犯罪や殺人事件が野放しになっている一方、ホームレスのような社会的弱者に対する横暴にも目に余るものがあった。
 コリンズが「息子が家に帰ってこない」と電話で市警に捜索を依頼しても、「そういうケースでは24時間以内に99%戻ってくる」と取り合ってもらえない。
 
 ようやく市警が重い腰を上げてからも、息子ウォルターの行方は杳として知れず。
 かねてラジオ番組で市警を批判していたグスタブ・ブリーグレヴ牧師(ジョン・マルコヴィッチ)は、この事件を契機に市警の腐敗を糾弾するキャンペーンを開始。

 そうした最中、失踪から5カ月後にしてウォルターが発見されるが、コリンズが駅まで迎えに行ったら別人だった。
 しかし、この手柄≠市警のイメージ回復に利用したいJ.J.ジョーンズ警部(ジェフリー・ドノヴァン)、ジェームズ・E・デーヴィス市警本部長(コルム・フィオール)は、母子再会の場に大勢詰めかけたマスコミの手前、「あなたの息子だということにしておいてほしい」と頼み込む。

 しかし、仕方なく家へ連れ帰った息子は身長が7センチも低い上、風呂へ入れるために裸にしたら、息子にしていない割礼がされていた。
 息子の背後から撮られたこの場面、息子の性器を見て驚きを露わにするジョリーの表情が非常に印象的だ。

 コリンズは息子が別人だと訴え、学校の教師や歯科医から証拠を集め、市警に対して再度捜索を依頼する。
 が、ジョーンズ警部は市警のお抱え医師に協力させ、「身長が縮んだのは誘拐されたショックによるもの」「割礼は誘拐犯が衛生を考えて行ったものだろう」などと反論。

 さらに、「あなたは子供がいない独身生活に慣れてしまい、息子を追い出したがっているのだ」とコリンズを罵倒したあげく、「警察の捜査を信用できない精神異常者」だと決めつけ、精神病院に拉致させてしまう。
 この精神病院でコリンズら女性患者が医師や看護師に虐待される描写がまた凄まじく、イーストウッドならではの乾いたタッチが効いている。
 
 一方、市警のレスター・ヤバラ刑事(マイケル・ケリー)はそのころ、カナダから不法入国した罪で逮捕した少年の口から、ゴードン・ノースコットの連続誘拐殺人事件に加担させられたという告白を聞いて捜査に着手。
 恐るべき事件の全貌が明らかになった直後、ブリーグレヴ牧師らは辣腕弁護士サミー・ハーン(ジェフ・ピアソン)の手を借りて市警と精神病院の告発に踏み切った。

 ここから先の法廷闘争も迫真の見せ場になっており、様々な経験と試練を通して逞しく、かつ美しくなってゆく女性の姿を演じ切ったジョリーの演技は見事の一語。
 『ミスティック・リバー』(2003年)、『ミリオン・ダラー・ベイビー』(2004年)、『グラン・トリノ』(2008年)など、イーストウッドと組んだ作品が多い撮影トム・スターンの色調とルックも素晴らしく、ジョリーとともにこの年のアカデミー賞にノミネートされている。

 オススメ度A。

(2008年 アメリカ=ユニバーサル・ピクチャーズ/日本配給2009年 東宝東和 142分)

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 ※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

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