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『サム・ペキンパー 情熱と美学』(WOWOW)
2018年01月29日(月)
Passion&Poetry:The Ballad of Sam Peckinpah


 ドイツ出身のプロデューサー、マイク・シーゲルという人物が製作したサム・ペキンパーの伝記ドキュメンタリー映画。
 彼自身が書いたペキンパーの評伝(邦訳未刊行)がベースになっており、私財を投じてつくりあげた作品だという。

 ペキンパーは生前、アメリカ先住民の血を引いていると自称していたが、これはギミックで、実はドイツ系移民の子孫。
 もともとの苗字はベッケンバッハだったが、アメリカに移民してからペキンパーに改められた、という意外な出自がオープニングで語られる。

 当初は舞台の演出家を目指していたが、ドン・シーゲルについてテレビドラマの世界に入り、人気シリーズ『ガンスモーク』(1955〜75年/CBS)、『ライフルマン』(1958〜63年/ABC)の脚本を手がける。
 1961年に『荒野のガンマン』で監督デビューすると、翌62年に当時の西部劇スター、ジョエル・マクリーとランドルフ・スコットの最初で最後の共演作品『昼下りの決斗』でブレーク。

 続くチャールトン・ヘストン主演の大作ウエスタン『ダンディー少佐』(1965年)で、編集権をめぐり、製作者のジェリー・ブレスラーと衝突。
 トラブルメーカーというレッテルを貼られながらも『ワイルドバンチ』(1968年)で再起を果たし、『砂漠の流れ者 ケーブル・ホーグのバラード』(1970年)、『わらの犬』(1971年)、『ジュニア・ボナー 華麗なる挑戦』(1972年)、『ゲッタウェイ』(1973年)、『ビリー・ザ・キッド 21才の生涯』(同)と、傑作、ヒット作を連発してバイオレンス・アクションの巨匠となった。

 コメンテーターはジェームズ・コバーン、クリス・クリストファーソン、アーネスト・ボーグナイン、アリ・マッグローらかつてのスターに加え、デヴィッド・ワーナー、ボー・ホプキンス、L・Q・ジョーンズ、R・G・アームストロングらペキンパー作品に欠かせなかったバイプレーヤーたちも登場。
 ペキンパーの妹ファーン・リー・ピーター、娘ルピタ・ペキンパーなど、肉親も貴重な証言を寄せている。

 個人的にショックを受けたのは、『戦争のはらわた』(1977年)のころにはウォッカやズブロッカを1日にボトル4本も空けるほどのアルコール依存症になっていたこと。
 コバーンによれば、当然撮影中も酒は抜けておらず、酔っ払ったまま演出していたという。

 その後、重度のコカイン中毒になり、「私の目の前で鼻から白い粉を吸い始めたのを見てびっくりした」という妹ピーターのセリフには耳を疑いたくなった。
 遺作≠ニなったジュリアン・レノンのミュージック・ビデオ撮影に臨む際には、プロデューサーのマーティン・ルイス(コメディアンでもある)にヒステリックな言動を連発した上、撮影場所へ移動している車中でルイスの服にカップスープをぶちまけるなど、完全に常軌を逸していた。

 1984年に亡くなったときは59歳だったが、映像を見ていると70歳より若くは見えない。
 というわけで、最後は大変複雑な気分にさせられたものの、非常に貴重なドキュメンタリーであることは確か。
 
 オススメ度B。
 
(2005年 ドイツ/日本公開2015年 提供・配給:太秦 配給:マグザム 115分)

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 ※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

12『ビリー・ザ・キッド 21才の生涯』(1973年/米)B
11『わらの犬』(1971年/米)A
10『O嬢の物語』(1975年/仏、加、独)C
9『ネオン・デーモン』(2016年/仏、丁、米)D
8『団地』(2016年/キノフィルムズ)B
7『スティーブ・ジョブズ』(2015年/米)B
6『スノーデン』(2016年/米)A
5『キングコング:髑髏島の巨神』(2017年/米)B
4『ドクター・ストレンジ』(2016年/米)B
3『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』(1967年/台、香)B
2『新宿インシデント』(2009年/香、日)B
1『日の名残り』(1993年/英、米)A