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『O嬢の物語』(セルBD)
2018年01月25日(木)
Histoire d'O


 画像のジャケ写からもわかる通り、このブルーレイはドイツ製である。
 言語はオリジナルのフランス語、製造元のドイツ語のほか、英語、スペイン語版が収録されており、字幕もフランス語とドイツ語に加え、英語、ポルトガル語、オランダ語、デンマーク語、それに日本語まで選択できる。

 もちろんモザイクなしの無修正版で、リージョンフリー。
 43年前のポルノ映画を改めて全篇じっくり鑑賞してみたいという方は、日本製ではなくドイツ製のBDをネットで購入することをお勧めします。

 同題原作小説はポーリーヌ・レアージュ(正体はジャーナリスト兼作家ドミニク・オーリーと言われる)が1954年に発表したSMポルノの古典。
 映画化版の本作が劇場公開された当時は、女性でも見られるファッショナブル・ポルノとして宣伝され、大ヒットしたが、いまではこの映画自体がカルト化している。

 この作品が興行的に成功し、のちにビデオソフト化され、いまなお世界で繰り返し見られている理由は何なのか。
 監督ジュスト・ジャカンの画作り、O嬢を演じたコリンヌ・クレリーの美しさもさりながら、脚本を書いたセバスチャン・ジャプリゾによる翻案の秀逸さにある、とぼくは思う。

 原作では徹底してステファン卿に隷従し、尻に焼印を押され、性器に鉄環ををはめられたO嬢は、最後に捨てられ、自殺することを決意し、これにステファン卿も同意する、と締め括られている。
 まあ、マゾヒズムの究極のカタチは死である、ということなんでしょうね。

 ところが、ジャプリゾはこのオチを引っくり返し、逆にO嬢がステファン卿の使っていたタバコのフィルターを使い、手の甲に焼印を押し返す<宴Xトに変更した。
 この幕切れが意表を突いていて、笑えるような、爽快なような、何とも言えない独特の余韻を残している。

 ジャプリゾはノスタルジックでエロティック、かつどこかファンタジックな作風で知られるフランスの小説家兼脚本家。
 映画化されてヒットした『シンデレラの罠』(1962年)、『殺意の夏』(1977年)は高く評価され、日本でも翻訳が刊行されている。

 ぼくのような映画のオールドファンには、アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンが共演した『さらば友よ』(1968年)の原作小説を書き、脚本も担当した作家と言ったほうがピンとくるかな。
 あの映画のラスト、それまで刑事(ベルナール・ブレッソン)の前ではお互い「こんなやつ見たこともない」と知らん顔を決め込んでいたのに、いざブロンソンが連行される段になると、ブロンソンのくわえたタバコにドロンがそっぽを向いたまま火をつけてやる。

 あのタバコの使い方は映画史上ピカイチだろう(のちにテレビドラマ『探偵物語』=1979〜80年/日本テレビ=で松田優作と岩城滉一がマネをしていたほど)。
 ジャプリゾがO嬢をドロン、ステファン卿をブロンソンになぞらえていたのは間違いない、と思う。

 ちなみに、ぼくが一番好きなジャプリゾの小説は『ウサギは野を駆ける』(1972年)。
 ジャン・ルイ=トランティニャンとロバート・ライアンが共演し、ルネ・クレマンが監督、ジャプリゾが脚本を書いた映画『狼は天使の匂い』(1972年)のノベライゼーションで、あの幕切れに感じた感動はほかに類例がない。

 あ、『O嬢の物語』のオススメ度はCです。
 
(1975年 フランス、カナダ、ドイツ/日本配給1976年=東宝東和 105分)

 ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2018リスト
 ※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

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