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『皇帝のいない八月』(WOWOW)
2017年11月29日(水)


 これもWOWOWの11月の特集〈緊急事態!日本列島大パニック〉で放送された1本。
 東宝の『日本沈没』、東映の『新幹線大爆破』に負けじと? 松竹が自衛隊のクーデターを描いたサスペンス巨篇。

 劇場公開当時、広島松竹(閉館)で画像のポスターを見たときには、日本でも『カサンドラ・クロス』(1976年)のような列車スペクタクルの大作がつくられるようになったかと、かなりワクワクしたものだ。
 実際に見てみたら列車が主役の映画ではなかったが、ネット上では現在、「原作者の小林久三も松竹の製作陣も和製『カサンドラ』を目指していた」との解説が定着している。

 元自衛官の藤崎顕正(渡瀬恒彦)を中心とする自衛隊内部のクーデター部隊がブルートレイン〈さくら〉を乗っ取り、博多から一路東京を目指す。
 計画の暗号名『皇帝のいない八月』は音楽担当の名匠・佐藤優が作曲したオーケストラ用の交響楽の題名で、この楽曲が作品全体に格調と重厚さを与えている。

 クーデーター計画の黒幕はかつて2期首相を務めた民政党の重鎮にして、いまもキングメーカーとして政界に隠然たる勢力を誇る大畑剛造(佐分利信)。
 大畑のモデルが田中角栄なら、藤崎のキャラクターは明らかに三島由紀夫を下敷きにしており、このあたりの設定の細かさはさすが当時を代表するミステリ作家のひとり、小林の原作ならではと言えよう。

 藤崎らの行動をいち早く察知した江見為一郎・陸上幕僚監部警務部長(三國連太郎)、利倉保久・内閣調査室室長(高橋悦史)はすぐさま調査を開始。
 計画の首謀者と判明した陸上自衛隊幕僚監部・真野陸将(鈴木瑞穂)を、憲兵上がりの江見が拷問の手法を駆使して自白を迫るくだりは舞台劇さながらの生々しさを感じさせる。

 藤崎隊に合流しようとした東上正・元一等等陸尉クーデター実行部隊東上隊隊長(山崎務)が鎮圧部隊に蜂の巣にされ、藤崎が車上からとどめの一撃を放つ場面も素晴らしい。
 ただし、それだけに、全国のクーデター部隊が次々に鎮圧される過程がテロップの説明だけに終わっているのはいかにも腰砕けで、当時の邦画らしい予算不足ならではの弱点が丸出しになっているのがもったいない。

 役者では渡瀬、三國、佐分利はもちろん、佐橋総理大臣を演じる滝沢修が出色。
 そのぶん、渡瀬の妻を演じる吉永小百合、その元恋人・山本系の存在感が希薄に感じられるのは如何ともしがたい。

 下手をすれば荒唐無稽にしか見えなくなるお話をがっちり作り上げた監督は社会派の第一人者・山本薩夫。
 なお、日刊ゲンダイの記者だった時代、原作者の小林さんに巨人ファンの代表として何度もコメントをもらっていたことも懐かしく思い出しました。

 オススメ度B。



(1978年 松竹 140分)

 ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2017リスト
 ※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

99『新幹線大爆破』(1975年/東映)A
98『日本沈没』(1973年/東宝)B
97『ワイルド・アパッチ』(1972年/米)A
96『レヴェナント:蘇えりし者』(2015年/米)B
95『ザ・コンサルタント』(2016年/米)B
94『バニシング・ポイント』(1971年/米)A
93『突撃隊』(1962年/米)A
92『上海から来た女』(1947年/米)B
91『偉大なるアンバーソン家の人々』(1942年/米)B
90『デストラップ 死の罠』(1982年/米)A
89『眠れぬ夜のために』(1985年/米)B
88『ジュラシック・ワールド』(2015年/米)B
87『シン・ゴジラ』(2016年/東宝)A
86『何者』(2016年/東宝)A
85『怒り』(2016年/東宝)A
84『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』(1969年/東映)B
83『エベレスト』(2015年/米、英、氷)B
82『運命を分けたザイル』(2003年/英)A
81『マラソンマン』(1976年/米)B
80『日曜日には鼠を殺せ』(1964年/米)B
79『トム・ホーン』(1980年/米)B
78『ギャンブラー』(1971年/米)A
77『サウスポー』(2015年/米)B
76『レスラー』(2008年/米)A
75『スーサイド・スクワッド』(2016年/米)C
74『エルム街の悪夢』(1984年/米)B
73『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(2016年/東宝)C
72『エヴェレスト 神々の山嶺』(2016年/東宝)C
71『SCOOP!』(2016年/東宝)C
70『極道の妻たち』(1986年/東映)D
69『チャイナタウン』(1974年/米)A
68『シチズンフォー/スノーデンの暴露』(2014年/米、独)A
67『アイスブレイカー 超巨大氷山崩落』(2016年/露)C
66『ヴィジット』(2015年/米)C
65『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年/米)A
64『アントマン』(2015年/米)B
63『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014年/米)B
62『インクレディブル・ハルク』(2008年/米)C
61『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011年/米)B
60『大いなる決闘』(1976年/米)B
59『ワイルド・ギース』(1978年/英、瑞)A
58『鷲は舞いおりた』(1977年/アメリカ)C
57『デンジャラス・デイズ/メイキング・オブ・ブレードランナー』(2007年/米)B
56『ブレードランナー/ファイナル・カット』(1982、2007年/米)A
55『ターザン:REBORN』(2016年/米)B
54『二ツ星の料理人』(2015年/米)B
53『炎の人ゴッホ』(1956年/米)B
52『サイレント・ランニング』(1972年/米)B
51『アンドロン』(2015年/伊、英、馬)D
50『アウトバーン』(2016年/米、独)B
49『カラーパープル』(1985年/米)A
48『ブリッジ・オブ・スパイ』(2015年/米)A
47『超高層プロフェッショナル』(1979年/米)C
46『特攻大作戦』(1967年/米)B
45『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』(2015年/米)B
44『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』(2005年/米)D
43『エミリー 悪夢のベビーシッター』(2015年/米)C
42『チリ33人 希望の軌跡』(2015年/智、哥)B
41『人生は小説よりも奇なり』(2014年/米)C
40『ファミリー・プロット』(1976年/米)A
39『グッド・ネイバー』(2016年/米)C
38『エージェント・ウルトラ』(2015年/米)B
37『デッドプール』(2016年/米)B
36『ちはやふる−下の句−』(2016年/東宝)B
35『ちはやふる−上の句−』(2016年/東宝)B
34『クリーピー 偽りの殺人』(2016年/松竹、アスミックエース)D
33『ザ・コントロール』(2016年/米)D
32『ダイヤルM』(1998年/米)B
31『ランス・アームストロング/ツール・ド・フランス7冠の真実』(2013年/米)A
30『ラスト・スキャンダル あるハリウッドスターの禁じられた情事』(2014年/米)C
29『ヘイトフル・エイト』(2015年/米)C
28『マギー』(2015年/米)B
27『三匹の侍』(1964年/松竹)C
26『女ガンマン 皆殺しのメロディ』(1971年/英)B
25『さらば愛しき女よ』(1975年/米)B
24『バーディ』(1984年/米)B
23『父 パードレ・パドローネ』(1977年/伊)B
22『カンバセーション…盗聴…』(1974年/米)B
21『マン・オン・ワイヤー』(2008年/英、米)B
20『ザ・ブリザード』(2016年/米)C
19『クール・ランニング』(1993年/米)B
18『完全なるチェックメイト』(2015年/米)B
17『ルーム』(2015年/加、愛)B
16『イット・フォローズ』(2015年/米)C
15『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年/米)C
14『ザ・コア』(2003年/米)D
13『怪談』(1965年/東宝)B
12『切腹』(1962年/松竹)A
11『「ベガルタ」〜サッカー、震災、そして希望〜』(2016年/英)A
10『ユーズド・カー』(1980年/米)B
9『突破口!』(1973年/米)A
8『目撃』(1997年/米)B
7『ブラック・スキャンダル』(2015年/米)B
6『シャーク・プリズン 鮫地獄女囚大脱獄』(2015年/米)C
5『ゾンビシャーク 感染鮫』(2015年/米)C
4『ロボシャークvs.ネイビーシールズ』(2015年/米)B
3『シェルター』(2010年/米)C
2『僕だけがいない街』(2016年/ワーナー・ブラザース)C
1『誰も知らない』(2004年/シネカノン)A
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